俳優の三浦春馬さんが急逝して1年になる。ボイストレーナーとして7年、春馬さんを支えた斉藤かおるさんは、「いまだ傷が癒えず、答えを探し求めるファンの方に、寄り添うようなメッセージが届けられたら、私も結果的に癒されるかもしれない」と取材に応じてくださった。うかがった大事なエピソードを4回にわ
撮影の合間に戻ってレッスン
自分を磨く努力を続けた春馬さん。撮影の合間に、東京に戻ってレッスンを受けることもあった。
「春馬くんは、映像の仕事がメインなので、『舞台の発声は、映像で使いにくい』ということにならないよう、違いを説明しながらレッスンしました。声の出し方を、舞台と映像とでは使い分けることが大事です。歌や音声を、学問として科学的に捉えて実践するメソッドを取り入れました。
春馬くんはいつでも忙しくて、2ヵ月ぐらいレッスンがあくと、どちらともなく『どうしてる?』と連絡し、『映画の撮影があってしばらく行けないので、課題をください』と言われることもありました。春馬くんは、地方での撮影の合間に自費で帰ってきて、殺陣やボイトレのレッスンを受けていました。『休みが1日あれば、二つお稽古できる。2日あればサーフィンもできる』と話していましたね」
芸能の仕事の生徒たちには、「遊びなさい。趣味を見つけなさい。私生活をしっかりして、自分の核がないと、仕事に流されてしまうから」と伝えている斉藤さん。
「春馬くんは、考えが顔に出るタイプです。会えなかった間に何をしていたか、わかる。前の仕事で言いたくないことがあったなとか、恋愛のこととか。一言、二言しゃべるとわかります。20代は恋をたくさんしたほうがいいよと、話しましたね。仕事でもプライベートでも真面目な性格で、真剣な恋をする人です。女性と友情を築けるので、相談できる女友達もいました」