俳優の三浦春馬さんが急逝して1年になる。ボイストレーナーとして7年、春馬さんを支えた斉藤かおるさんは、「いまだ傷が癒えず、答えを探し求めるファンの方に、寄り添うようなメッセージが届けられたら、私も結果的に癒されるかもしれない」と取材に応じてくださった。うかがった大事なエピソードを4回にわたって紹介する。1回目は、春馬さんが読売演劇大賞の杉村春子賞も受賞した当たり役、ミュージカル『キンキーブーツ』のローラ役との向き合い方をお伝えした。第2回は春馬さんが「なりたい自分になる」夢を追い続けていた話をお伝えする。

2016年、LAでミュージカル「キンキーブーツ」オープニングに日本代表で出席した三浦さん Photo by Getty Images
斉藤かおる ボイストレーナー・ボイスペダゴーグ。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。子供の頃から童謡歌手として活躍。NHK教育番組の「うたのおねえさん」を務めた。その後、発声に特化した指導をスタート。歌だけではなく、声に関することならどんなことでも指導する。生徒の9割は、俳優や歌手などのプロだという。
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撮影の合間に戻ってレッスン

自分を磨く努力を続けた春馬さん。撮影の合間に、東京に戻ってレッスンを受けることもあった。

「春馬くんは、映像の仕事がメインなので、『舞台の発声は、映像で使いにくい』ということにならないよう、違いを説明しながらレッスンしました。声の出し方を、舞台と映像とでは使い分けることが大事です。歌や音声を、学問として科学的に捉えて実践するメソッドを取り入れました。
 
春馬くんはいつでも忙しくて、2ヵ月ぐらいレッスンがあくと、どちらともなく『どうしてる?』と連絡し、『映画の撮影があってしばらく行けないので、課題をください』と言われることもありました。春馬くんは、地方での撮影の合間に自費で帰ってきて、殺陣やボイトレのレッスンを受けていました。『休みが1日あれば、二つお稽古できる。2日あればサーフィンもできる』と話していましたね」
 
芸能の仕事の生徒たちには、「遊びなさい。趣味を見つけなさい。私生活をしっかりして、自分の核がないと、仕事に流されてしまうから」と伝えている斉藤さん。
 
「春馬くんは、考えが顔に出るタイプです。会えなかった間に何をしていたか、わかる。前の仕事で言いたくないことがあったなとか、恋愛のこととか。一言、二言しゃべるとわかります。20代は恋をたくさんしたほうがいいよと、話しましたね。仕事でもプライベートでも真面目な性格で、真剣な恋をする人です。女性と友情を築けるので、相談できる女友達もいました」