俳優の三浦春馬さんが急逝して、7月18日で1年になる。七夕の日には、最後の主演映画『天外者』の特別上映が183館で実現し、ファンがメッセージを伝える企画もある。前向きなムーブメントがある一方、いまだに心の傷が癒えないままのファンも少なくない。ボイストレーナーとして7年、春馬さんを支えた斉藤かおるさんは、「春馬くんは、いつでも夢の実現のために勉強をしていました。なりたい自分になるため、努力していました。なぜ彼が死を選んだかではなく、最後までどう生きたいと願っていたかを知ってほしい」と取材に応じてくださった。うかがった大事なエピソードを4回にわ
ミュージカルへの夢…先生を探して
春馬さんが斉藤さんのところにやってきたのは、劇団☆新感線のミュージカル『ZIPANG PUNK 五右衛門ロックlll』に出演した少し後だった。筆者は昨年、この作品の映画版を鑑賞した。春馬さんは輝く笑顔で、歌って踊って殺陣もこなし、大活躍。古田新太さんや蒼井優さんといった共演者も、豪華だ。
「五右衛門ロックは、芸能人生で大きな転機の一つだったようです。2013年に五右衛門ロックが終わったあと、春馬くんはニューヨークに行っています。そこでのちに演じた、『キンキーブーツ』のドラアグクイーン・ローラとの出会いがあったのでしょう」(斉藤さん)
ミュージカルをやってみたい、という気持ちが芽生え、春馬さんは、五右衛門ロックで共演して意気投合した浦井健治さんに、歌の先生の紹介を頼んだ。浦井さんは、史上二番目の若さで読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した実力の持ち主で、斉藤さんが指導していた。