2021.07.26
# エンタメ # 本

ヒャダイン×児玉雨子「アイドルも作品も“一つの物差し”で測っちゃいけない」

最前線のクリエイターが見ているもの
現代ビジネス編集部

H:この小説には、固有名詞がいろいろ出てくるよね。スマホじゃなくてiPhone、さらにはiPhoneSE2って繰り返し書いてるし、音楽ソフトもDAW(音楽制作のためのシステムの一般名詞)じゃなくてCubase10と名指ししてる。縦書きの小説の中で横書きのまま文字が倒れてて。

K:そこはもうヒップホップみたいにしっかり固有名詞を出して解像度を上げようと思って。スマホという意味でiPhoneと言う人はたくさんいるし、固有名詞が一般名詞化して言葉がズレていくその感覚も面白い。同じ規格で作られていてもバージョンが違うだけでその人の身なりに近い物になる、同じiPhoneを使っているようでそこに格差が透けて見えるという状態を描きたかったという思いもあります。

H:それで投げるんだよね、iPhoneを、2作ともで(笑)。真子ちゃんのスマホに《以前会ったときにはなかった無数の亀裂が、液晶画面の端に走っていた》という場面、生々しくて怖かった!

 

歌詞と小説、創作の違い

K:嬉しい! ありがとうございます。歌詞で、画面が割れている女の子のことを書いてと依頼されたときは、アイドルの心をここまで書いていいんだろうか? それを書いたらショービジネスが成り立たなくなるんじゃない? と考えてしまって書けなかったことがあるのですが、小説なら大丈夫かなと思って。

音楽って相手の耳に凸れてしまう、ある意味では暴力的な娯楽じゃないですか。でも小説は、どんなに本を押しつけて読んで読んでと言ったとしても、その人がページめくらないと始まらない。閉じたメディアだからこそ、ここでは書いてもいいかなと思えました。

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