ついに決定! 第37回講談社科学出版賞受賞作は『脳を司る「脳」』

いま、「ニューロン以外の脳」が注目される理由

本日、第37回講談社科学出版賞の受賞作が発表されました!

本賞は、前年度に刊行された一般向けの科学書の中で、もっとも優れた作品に贈られるものです。数ある作品の中から選ばれたのは、毛内拡さん『脳を司る「脳」』(ブルーバックス刊)です。おめでとうございます!

これまであまり注目されてこなかった「ニューロン以外の脳」のはたらきから、心や知性といった人間らしさを探っていく本書。新しい視点で脳科学の最前線がわかる1冊として、大変ご好評いただいています。

受賞された著者の毛内さんに、喜びの声をお寄せいただきました!

「脳科学の王道」を外れた研究だった

この度は、第37回講談社科学出版賞にご選出いただき、誠にありがとうございます。ご連絡をいただいた際にはあまり実感が沸いておりませんでしたが、日が経つにつれて、なんとも身に余る光栄、大変嬉しく、喜びを噛み締めております。

また、SNS等でも大勢の読者の方から本書に関するご反響をいただいており、日々の励みとなっておりました。この場を借りて感謝申し上げます。今後ますます身を引き締めて教育・研究に励みたいと思う次第です。

「脳科学研究の王道」といえば、神経細胞と呼ばれるニューロンが作るネットワークの研究です。脳科学の教科書などで取りあげられるのも、このニューロンの話が中心ですが、本書は、これまであまり表舞台に立つことがなかった「脳細胞の隙間のスペース」や、そこを流れる液体、そしてグリア細胞などに着目した点で、脳科学の一般書と比べて毛色が異なっているのではないでしょうか。

私は大学時代、恩師に導かれて、グリア細胞やシナプスを介さない相互作用など、脳の中に存在する"ニューロン以外の要素"が重要な働きをしているかもしれない、という大胆な(⁉)アイディアに触れる機会がありました。当時は右も左もわからない学生でしたが、この考え方はとても重要そうだと直感的に思ったのを今でも覚えています。

【写真】脳以外の構成物神経細胞以外の隙間やそこにあるものに注目した photo by gettyimages

なにより、派手で万人受けするわけではないけれど、じつは本質的なことをしていそうな「表舞台には出てこない脳しくみ」の研究というのが、自分の性分に合っている気がして単純にすごく好きでした(恩師はそれを見抜いていたに違いありません)。

長年温めてきた研究が認められた

私は、学生時代に出会ったこのアイディアを信じ、自分なりに温めて研究を続けてきました。あれから何年か経ち、実際にグリア細胞などニューロン以外の要素が、脳の中で重要な役割を果たしていることが世界中で続々と明らかになってきています。

なんだか、これまで自分の信じてきた直感が正しかったと認められているような気がして、少しホッとしています。

また、本書を多くの皆さまに読んでいただき、自分の研究分野がこのような形で脚光を浴びていることに驚きを感じつつも、素直に嬉しく思います。

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