19歳女性の「首なし遺体」が発見され…おぞましい「陰獣事件」の凄惨すぎる現場

乳房も切り取られていた

満州国建国、五・一五事件など、日本の政治権力が大きく変動しはじめた1932年(昭和7年)。愛知県名古屋市で世にも奇妙な猟奇殺人事件が発生した。

「首なし娘事件」または「陰獣事件」、「陰獣倉吉事件」とも呼ばれる本事件は、戦前の殺人事件を取り上げた書籍等で紹介される機会も多い事件である。

『陰獣』とはミステリー作家・江戸川乱歩の中編ミステリー小説のタイトルである。本事件が、同作の一部に酷似していたことから「陰獣事件」と騒がれた。

本稿では事件当時に発行された新聞、警察資料などを元に振りかえりたい。

〔PHOTO〕iStock
 

遊郭近くで起きた惨劇

事件のはじまりは1932年2月8日の17時ごろ。愛知県名古屋市西区の川沿いで農業を営んでいる村田卯之吉(仮名)が所有する鶏ふん小屋(鶏の糞を溜めるための小屋。資料によっては農具を入れた小屋という記述もある)で起こった。

当時、この場所の近くには「名楽園」と呼ばれた名古屋の遊郭「中村遊郭」があり、人の出入りが非常に多い土地であった。その中村遊郭から少し離れた畑の中に村田の所有する鶏ふん小屋があり、遊郭の喧騒からは想像できないほど、ひっそりとした場所であったという。

8日の夕方、村田卯之吉の長男である幸太は、約1週間ぶりに鶏ふん小屋を訪れた。この小屋は6畳間しかない小屋で、幸太は用事を済ませ外に出ようとした際、小屋の隅でムシロがかけられた大きな物体を見つけた。

「あれ? こんな所にこんな大きな道具置いたかな?」

幸太がムシロを剥がすと、そこにはメリンス(毛織物の一つ)の着物を着た女性の死体があった。

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