日本では毎年約1万人もの女性が子宮頸がんに罹患し、この病気で年間2900人が命を落としている(2019年のがん統計予測/国立がん研究センター情報サービス)。これは1日に8人もの女性が亡くなっている計算だ。世界では子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン接種が広がっているが、接種率1%未満の日本では、他人事とはいえない病気のひとつである。

もし、あなたががんにかかったらどうするか。そして余命1年を宣告されたらどうするか――そんなことを考えさせられる小説が、吉川トリコさんの『余命一年、男をかう』だ。主人公の片倉唯は40歳。趣味は節約とキルト製作で、マンションのローンも支払い終わっている自立した女性だ。ある時子宮頸がんが発覚し、余命宣告を受けるが、治療は受けないと決意する。そんな唯の前に、ある日ピンク色の頭をした超イケメンが現れ、借金を依頼してきた――。

仕事・恋愛・結婚・出産・病気・お金……あらゆる人生について考えさせられる小説を読んだバービーさんと、著者の吉川トリコさんが「小説現代」2021年7月号にて実施した対談を前後編でお届けする。

前編は「女性の身体」についてお二人の赤裸々トークが炸裂!

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『余命一年、男をかう』を読んでみて

バービー:20歳くらいまでは小説を読んでいたのですが、最近はあまり物語を読むことがなく。今回、久々に『余命一年、男をかう』を読み、もっと読みたいと思える一冊に出会えた感じでした。読まなきゃいけない本を読むことはあったのですが、自分が好きで読む、早く先が知りたいとか、その世界に入りたいと思えて、あらためて小説ってすごい力を持っているんだなと気づきました。

吉川:ありがとうございます。嬉しいです。

バービー:私は37歳なのですが、思っていることや考えていること、価値観が作品と近いから「そうそう、そうなのよ、そうなのよ!」と他の人に大きな声で言えない気持ちのところで共感しましたし、主人公のふたりに幸せになってほしい! と展開を追っていくのが楽しかったです。素敵な時間をありがとうございます。

撮影/杉山和行

バービー:そして、コロナのことが物語に書かれているので、どれくらいのタイミングで書かれたのかなって思いました。すごいスピードで書かれたんだろうなと。読みながらも驚いたんです。もとから、構想はあったのですか?