まだ「2ヵ月しか」経っていないのに…

はじめはその回答に少々面食らって。なにしろ、事件が起きてからまだ2ヵ月。もちろん遺体は確認されていない。いまだ死亡の事実はなく、行方不明状態なのである。子供に帰ってこないと話す以上、わたし自身も夫は帰らぬ人とふんぎりとつけねばならない。

しかしその先生の説明は、わたしも納得のいくものであった。つまり、子供は子供なりに父親が待っても待っても帰ってこないという状態に異常を感じているはずだ。なんで帰ってこないのか? それについての確かな説明をどこかで求めているはずだというのである。

「お母さんもね、お父さんはどこかで生きていて、きっとそのうち帰って来てくれると信じて待ってたけど、やっぱりもう帰って来られないみたいなんだよね。とっても悲しいね。悲しいけど、でもそれは仕方のないことなんだ」と、そういうふうに話してみたらどうだろうと言うのだ。

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つらい会話である。できることなら、3歳児の我が子とは、持ちたくない会話である。しかし、わたしたち家族のおかれた現実を思えば、やはりさけては通れない会話でもある。やはり逃げてはいられない。3歳の子供とはいえ、ひとりの人間として事実を知る権利はある。そして、その事実を知って次のステップを踏んでいってほしい。

わたしは太一に話すことを選択した。刺激の少ない言葉を選びながら、正直にまっすぐに、現実を伝えてあげよう。彼が悲しんだら、思いっきり抱きしめてあげよう。

第一子として生まれた太一くんと陽一さん、晴美さん 写真提供/杉山晴美