麻生太郎に正論を突きつけ…つまらなくて面白い“注目野党議員”の正体

なぜ君は小川淳也を取材するのか?(1)

政治家・小川淳也の「良いところ」も「悪いところ」も知り尽くす二人によるトークをレポート!

清貧代議士・小川淳也議員(立憲民主党)の考える政策の全貌と人物像に迫った現代新書の新刊『本当に君は総理大臣になれないのか』(通称・ほん君)。その出版を記念して、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の大島新監督、そして、AERAの名物ルポ「現代の肖像」で等身大の小川を描き、このほど小川氏と新刊『本当に君は総理大臣になれないのか』を出版したノンフィクション作家の中原一歩氏が小川氏について語り尽くすイベントが先月開催されました。今回はその前半戦の様子をレポートします。

小川淳也と出会ったきっかけ

中原 大島監督にぜひお聞きしたかったんですけど、誰も当時名前を知らない小川さんを取材をしようと思ったとき、どこかに出す「当て」はあったんですか?

大島 最初の2003年の選挙に関して言うと、フジテレビの「ザ・ノンフィクション」の枠に企画を持っていったんです。そうしたらプロデューサーは「面白そうじゃないか」って言ってくれたんですが、「たとえ選挙が終わった後の放送だったとしても、やっぱり政治家をテーマにする場合には1人だけっていうわけにはいかない」と。

そこで、小川さん以外に、旭川の無所属の男性と、横浜の社民党の女性を追加で取材して、それで「地盤・看板・カバンなし」の3人の若者のオムニバス・ドキュメンタリーとして、実は放送したんです。

私の中ではそこで一旦区切りがついて。だからそこから先は、取材者としてというより、小川さんとは、なんとなく友人づきあいが続いている感じでした。

中原 僕はある方から、「小川さんを取材したら面白いよ」っていう話で彼の取材を始めたんです。僕自身はこれまでいろんな媒体で、それこそ自民党から共産党まで、いろんな政治家や関係者を取材してきたので、だいたい「政治家ってのはこんなもんだ」みたいなイメージがあるわけです。取材にあたっては下調べをするんですけど、僕は週刊誌屋ですから、真っ先に「カネとオンナ」について調べるんですね。「身体検査」という言い方もしますけど。政治資金収支報告書を取り寄せて、じっくりと見てみるんです。政治資金収支報告書って、そこに何が書かれているっていうことは別にして、「こんなことにお金を使ってんのか」とか、「これくらい寄付が集まってんのか」とか、その政治家の人間像を知るにはすごくいい手掛かりになって。

大島 それも本に書いてあったけど、面白いなと思いました。雑誌の記者はこうやって調べていくんだなって。

 

麻生財務大臣との対決

中原 当時小川さんは5期目だったかな。そのときの収支資金報告書を、編集部の何人かで見たんですけど、ありていに言うと、あんなにつまんない政治資金収支報告書は初めて見たんですよ。

大島 なるほどね(笑)

中原 ほとんど支出の中身が、弁当代がどうだとか、寄付も個人の方がなけなしの1000円をパラパラと振り込んでる、みたいな。

僕が知ってる政治家っていうのは、「政治家=権力」ですから。

だから小川さんの下調べをしたときに「この人、大丈夫かな?」と思って。

大島 それは「面白みがないんじゃないか?」とか、そういうことですか?

中原 面白みがないっていうか、なんか「無印良品」みたいな印象ですね。

別に無印良品が悪いわけではないけど、政治的にギラギラしたアピールを感じない。「野心」とかそういったものがない。

ただ、それでも僕がこの人を取材したいなと思ったのは、麻生(太郎)さんとやり合った「統計質疑」があったからなんですよ。

厚労省統計不正問題…厚生労働省が作成する、景気動向や経済政策の指標となる重要な統計(=毎月勤労統計調査)に関して、調査の手抜きや虚偽報告、非公表でのデータの補正など数々の不正が発覚した問題。2018〜19年にかけて一気に社会問題化した。

麻生さんってある種、「権力そのもの」ですし、どんな方が切り込んでも、だいたい最終的には「麻生節」に丸め込まれちゃって、なかったようなことにして済まされていく。だから普通の議員であればその凄みに呑まれてしまって何も言い返せない。

そんな中、小川さんは質疑の最後、麻生さんがまさに丸め込もうと半分ニヤニヤしながら、「やれるもんならやってみな」と言わんばかりにドンと構えて来たときに、スパッと正論を突きつけた。

大島 「(アナタは)役所にいたからお分かりでしょうけど」って言う麻生さんに対して、「役所にいたから聞いてるんですよ」って、あの一言ね。

中原 そう。あの麻生さんを相手に、真面目に、真正面から切り返した。あの場面を見て「この人はちょっと面白いぞ」って思って。それで取材を始めたんです。

さっき言った無印良品な部分の、まさに正反対の姿を見てしまったもんですから。

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/