やめられないUberEats

――UberEats配達員の働き方は登場当初は副業として捉えられていましたが、現在では専業となる人も増えています。その理由は何だと思いますか。

青柳:しっかり毎日働けば、稼げる仕事だからではないでしょうか。また、ひとりでできる仕事なので、そのことに救われている人、助けられている人も多いんじゃないかと思います。実際、引きこもりから卒業できた人もいるそうです

それから、働き手を楽しませるようなゲーム的な演出もアプリにはあります。1件ごとにチップも出ますし、雨の日は「プラスでいくら」というクエストが出ます。短い距離でたくさん稼げたときは勝ったような気分にもなります。

帰ろうとしたら「鳴る」ことも演出のひとつと言えるかもしれません。注文の音が鳴るとボタンを押したくなってしまうんです。雨の日にはひっきりなしに鳴ります。その時に自分が求められているという多幸感があるんですね。ただ、報酬体系が不透明になった今、自分自身はずっとは続けられないと思っています。

『東京自転車節』より (C)水口屋フィルム/ノンデライコ
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――今、1回目の緊急事態宣言下の東京を振り返ってみてどのように感じますか。

青柳:映画を撮影していた2020年3月末から6月の3ヶ月間は、コロナ禍で何が起こるのかわからない状態の中で、必死になってもがいていました。新宿の歌舞伎町には誰もいないのに「客引きはしないでください」という音声だけが流れ続ける。そんな異様な光景に誰もが殺伐としたものを感じたと思います。

一方で、あの時はこれからどうすればいいか、立ち止まって考えることのできる時期でもあったのではないでしょうか。コロナ禍は収束しない状況ですが、この作品が今の状況を突破できる一つの足掛かりとしてみなさんに寄り添える映画になっているといいなと思います。

東京自転車節』は2021年7月よりポレポレ東中野ほか全国順次公開