ゲーム感覚からギャンブルへ

――劇中には3日で70件達成すると追加報酬が貰えるというクエスト(達成)制度の紹介がありましたが、1日42件の配達は厳しかったのではないでしょうか。

青柳:ハードです。 SNS を見るとこのペースで稼ぐ人はざらにいるようですが、足が棒になってハイになって大変な状態ではありました。

UberEatsは、目標を達成するために、何が何でも稼ごうという思考になります。ゲームをやる感覚で何が何でも達成してプラス1万いくら得よう、と。店を選んでうまく動ける人は効率よく稼げます。ただ、今は先ほど言った「配達調整金」の登場でなぜこの値段なのかもわからないし、回数を重ねても全く稼げていないというケースも頻発しています。そういう意味では、ゲームというより、ギャンブル性が高くなったのではないでしょうか。

配達員としてはやはり報酬は透明にして欲しいですね。他にも報酬の透明性を訴えている人たちはいますが、それに対するUberEats側の声明はありません。パートナーとしてみてくれているなら、もう少し人間扱いして欲しいというか。

『東京自転車節』より (C)水口屋フィルム/ノンデライコ
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自由を取るか補償を取るか

――配達員の人たちに対するフォローはどのようなものなのでしょうか。

青柳:まず、研修はありません。渡し方のマナーなどがわかっていない新人は、配達先のお客さんに怒られながら学んでいくしかないのかもしれませんね。

対人・対物賠償責任保険や配達員がケガをした時に医療費や入院した時の見舞金を補償する制度はあるのですが、いわゆる重症の場合で、限定的なケースにしか適用されません。ちなみに、9月から国の労災保険の特別加入制度が適用になり、個人で労災保険に入ることができるのですが、その保険金額をUberEats側が負担するべきだという声もあります。

でも、その金額まで企業に負担させてしまうとコストが合わなくなって、UberEatsが日本から撤退してしまうのではないかという気もします。また、UberEats配達員の補償を充実させるということは、「労働者」としての扱いをするということですよね。それでは、気軽に好きな時に働けるというUberEatsのメリットが失われてしまうのではないかと。