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早期退職して「母の介護」に専念した男性を待っていた「厳しすぎる現実」

年老いた親を老人ホームに入れるか、それとも自分で看るかーー。「老老介護」も当たり前の超高齢化社会、他人事と言える人はほぼいないだろう。人生を大きく左右する選択、「自分で看る」ことを選んだ人の「その後」はどうなのだろうか。介護情報サービス会社「在宅介護エキスパート協会」で代表を勤める渋澤和世氏が、実例を交えて解説する(プライバシー保護のため、一部脚色している部分があります)。

「親の面倒が見たい」と思っていても…

私は仕事柄、介護の現場を日々見てきましたが、最近の傾向として、離れた実家で暮らしている親の介護のために早期離職し単身で対応する男性も増えてきました。

それも働き盛りの50代で退職する人も珍しくありません。親のためとは言え、働き盛りで仕事を辞めるのは大変な決心が必要ですし、その親を思う気持ちには私も共感しています。

ただ、純粋に親の面倒が見たいという気持ちだけで行動してしまうと、後々思いも寄らない事態に遭遇することもあります。今回はそんな例をご紹介しましょう。

photo by istock
 

5年前に母親の介護のため、勤めていた会社を早期退職した加藤春男さん(仮名・60才)もそんな一人でした。

加藤さんは私立大学理工学部を卒業後、自動車メーカーの技術職として勤務する課長でした。家族は、3才年下の妻(パート勤務)、子ども男女一人ずつ。子供たちはすでに独立しています。親の家があるからいずれ戻る予定で、賃貸マンション暮らしです。要するにごく普通のサラリーマンと言っていいでしょう。

そんな加藤さんに突然、予期せぬ事態が訪れたのは5年前。78歳の母親が、転倒して大腿骨を骨折、入院したことでした。父親はその5年前に他界しており、母は岩手県の実家で一人暮らしです。手術は無事に成功、自宅に帰れることになったものの、だれかが日常の面倒を見なければいけません。

加藤さんには2つ年上の姉がいますが、すでに結婚し家をでています。年に数回は母親の様子を見るために実家に帰っていましたが、嫁ぎ先が関東の為、頻繁に通うことは難しい状態です。

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