2021.07.15
# 年金 # 介護

早期退職して「母の介護」に専念した男性を待っていた「厳しすぎる現実」

渋澤 和世 プロフィール

会社にも未練はなかった

何より、母親が昔ながらの考えで、嫁に出した子はよそ様に差し上げた子との意識が強くあるため、娘の嫁ぎ先に母親が移るという選択肢は、当初からほとんど議論されることはありませんでした。

「私の妻は、義母の介護には消極的で「施設に預けるしかないのでは」という意見でした。でも、それについては私が反対しました。

施設は最後の手段、在宅で面倒を見られるうちは自宅で過ごさせてやりたいと思ったからです。色々考えた結果、私が会社を早期退職して、実家に帰り母親の介護をすることになったのです」(加藤さん)

加藤さんが早期退職を選んだ背景には、母親思いということの他に、本人の事情も少なからずありました。

勤めている会社については満足していたものの、自分には能力もあり、会社のために貢献してきたし、最低でも部長になれると思っていたのですが、社内の派閥闘争に巻き込まれたこともあり、部長昇進の目がほぼ潰えてしまい、課長でサラリーマン人生を終えそうなことについては忸怩たる思いを抱いていました。

 

要は、会社には未練がなかったのです。しかも、会社は大手で「セカンドキャリア制度」が充実していたこともあり、それを利用すれば割り増しの退職金もかなり出るため、しばらくは働かなくても生活はできる。

それで年金がもらえる年になれば、「田舎で好きな釣りでもしながらのんびり暮らせばいい」という考えもあったため、妻と子供を自宅に残して、単身で実家に戻って介護をすることにしたのです。

しかし、その考えが甘かったと気づくまでにはそれほど時間はかかりませんでした。

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