40パーミルという急勾配に対応したドイツの高速列車(ICE3)
# 鉄道

日本の鉄道市場に「EUのメーカー」がなかなか進出してこないワケ

EUメーカーの方が実力は圧倒的に上?

政府間協議において「開放」はできている

いま、日本の鉄道市場が大きく変わろうとしている。日本の鉄道事業者は、これまで車両などの製品の多くを国内で調達してきたのに対して、これからは海外からも調達することを求められる。つまり、日本以外の国の参入を許容する国際調達が必要になったのだ。

その大きなきっかけとなったのが、2019年2月における経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU経済連携協定)の締結だ。この協定の発効によってEU諸国から「閉鎖的」と批判されていた日本の鉄道市場は、政府間協議によってEU企業に開放された。

世界各国で多くの参入実績を持つEUメーカーにとって、日本の鉄道市場は魅力的だ。日本は、鉄道が特異的に発達した国で、鉄道市場の規模が大きいにもかかわらず、これまでEUメーカーをあまり受け入れてこなかったフロンティアだからだ。

欧州ビジネス協会鉄道委員会の委員長で、イタリアの鉄道部品メーカー(チェンブレ社)の日本市場顧問である河原成年氏は、「われわれ欧州の鉄道メーカーは、大企業に限らず中小企業もふくめて、常に日本市場でのビジネスチャンスをうかがっている」と語る。 

ところが日本の鉄道市場に対するEUメーカーの参入は進んでいない。政府間協議では鉄道市場の開放が実現したのに、EU製品が日本の鉄道現場に十分に入り込めていないのだ。

もちろん、すでに入り込んだ例は存在する。日本全国で使われているオーストリア製の保線機械や、JR東日本・JR西日本・JR北海道の一部の新幹線電車に導入されたドイツ製のブレーキ装置は、その代表例だ。ただ、EUの鉄道メーカー全体から見れば、こうした成功例は稀である。

ドイツ製ブレーキを採用したE5系新幹線電車(筆者撮影)
 

なぜなのか。その真相に迫るため、筆者は欧州ビジネス協会鉄道委員会の協力を得て、同委員会のメンバー(EUメーカーの社員)や、EUメーカーで勤務経験を持つ人物にアンケート調査を行った。

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