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世界の企業は、「コロナ後の世界」をどのように描いているのか?

未来を加速させる「世界企業の戦略」を読み解く
アリババ、グーグル、スペースX…それぞれのCEOが自らの口で語った、「世界を動かす企業の次の一手」とは何か。海外の優れた記事を厳選するシリーズの前著『新しい世界 世界の賢人 16人が語る未来』に引き続き、今回は「世界企業」をテーマとする『変貌する世界』(講談社現代新書)から、「はじめに」を特別公開いたします。

「人類を奴隷化するためのテクノロジー」を憂慮

新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの社会を大きく変容させた。ワクチンの接種が進み、以前のような日常が戻ってきたとしても、コロナ禍に起きた変化が社会に深く刻みこまれたのは事実だ。

デジタルシフトが進み、新しい働き方が広がったという側面もあれば、格差がより拡大したという指摘もある。自宅で過ごす時間が増え、人生観が変わった人もいれば、政府を見る目が変わった人もいるだろう。

海外の優れた記事を厳選するシリーズの前著『新しい世界 世界の賢人 16人が語る未来』では、コロナ禍を発端に、経済格差や環境問題、資本主義の限界など、人類共通の課題に国際社会が連携して取り組むことの重要性を認識させられたいま、世界の知識人たちが世界の今後をどのように見据えているかを取り上げた。経済学者から歴史学者、哲学者まで幅広い分野の賢人たちが考える展望を紹介した。

第2弾となる本書が取り上げるテーマは、世界企業である。

いまや巨大企業の経済活動に国境は存在しない。急激に成長し、富を集中させているだけでなく、私たちの生活を大きく規定しているという意味でも、各国政府以上に大きな存在感を有している。スマートフォンやSNSが登場した頃に漂っていた、テクノロジーが世界をより良いものにする、といった空気は一変し、近年ではその脅威論に触れる機会のほうが多い。

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各国政府も巨大テック企業への規制を強めている。欧州ではデジタル課税の導入や個人データの保護規制の強化が進み、米国においても独占禁止法違反の疑いでグーグルが提訴されるなど、その地位を崩さんとする動きが顕著になっている。

前著でインタビューを掲載したイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは、オランダの歴史学者ルトガー・ブレグマンとの対談のなかで、「コロナ後の世界の最大の課題」について、こう自身の認識を語っている。

「テクノロジーに対する不安は、気候変動よりもはるかに大きい。なぜなら、テクノロジーさえうまく管理できれば、それが気候変動の問題も解決してくれるからです。逆に、テクノロジーの管理に失敗すると、気候変動への対処はますます難しくなる。気候変動には、まだ少しの時間的猶予がある。それに対し、テクノロジーの変化はもっと速い。(中略)

気候変動を乗り越えるためではなく、人類を奴隷化するためにテクノロジーが使われることになるのではないか。私が何よりも憂慮するのはそのことです」

ハラリの述べるとおり、テクノロジーは活用の方向性次第で人類共通の課題を解決する救世主のような存在にも、脅威的な存在にもなりうる。最先端のテクノロジーを駆使して事業を展開する世界企業が何を考えているのか、どこに向かおうとしているのか、といったことを知らなければ、これからの世界がどんなものになるのか、未来像を描くことすらできなくなっているのである。

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