新たにFTC委員長に就任したリナ・カーン氏[Photo by gettyimages]

32歳の女性法学者vsシリコンバレー、アメリカで「独占」をめぐる戦いが始まった

巨大IT企業をどう規制すべきか?

シリコンバレーに好敵手現る!

まさに青天の霹靂だった。

2021年6月15日、アメリカの連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)の委員長に、弱冠32歳のリナ・カーンが就任した。新任のFTC委員として、数時間前に上院の投票で69対28(棄権3)で承認が決まった直後、いきなり委員長としてバイデン大統領から指名され、あっという間に着任が決まった。

有色人種の女性で32歳のミレニアル。バイデン政権にとって、インクルーシブとプログレッシブの両方を満たす人材として、これほど適した人物もいないだろう。もちろん、FTC委員長として32歳は歴代最年少である。

歴代最年少でFTC委員長に就任したコロンビア・ロースクールのリナ・カーン准教授[Photo by gettyimages]
 

カーン新FTC委員長が取り組むべきものの筆頭が、Big-Techに関する規制、具体的には、Google、Facebook、Amazon、Appleをどう規制下で管理するのか、という課題だ。カーンが承認を待っている間にも、連邦議会下院では、Big-Techの規制法案が提出され検討が続けられていた。本格的にGAFAをどうすべきかが問われる時代になったのである。そのためには現代のIT化された産業の時代に相応しい「独占」の定義を見直す必要に迫られる。

その大任を担うべく抜擢されたのがリナ・カーンだった。

弱冠32歳の「新世代トラストバスター」

まずは簡単に彼女のプロフィールをさらっておくと、リナ・カーンは、1989年ロンドン生まれのパキスタン系アメリカ人。11歳のときに家族でアメリカに移民した。リベラルアーツ・カレッジの名門であるウィリアムズ・カレッジを卒業後、在ワシントンのシンクタンクNew America Foundationに勤務し、流通業界を皮切りに企業行動の調査に携わった。その後、イェール・ロースクールに進学し、JD(法学博士)取得後はコロンビア・ロースクール准教授に着任した。

彼女が注目を集めたきっかけは、イェール・ロースクール在学中の2017年に、 “Amazon’s Antitrust Paradox”という論文をイェール・ロージャーナルに寄稿したことだった。この論文は法曹界を超えて話題になり、その後の「新世代トラストバスター」としての彼女の道を開いた。

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