度を越した「反日」狩りが横行する日本――社会分断の先に待つものは

この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体9/終
青木 理, 安田 浩一

「どっちもどっち」で片付けてはいけない

だからとくにメディアに関わる者たち――安田さんや僕もそうですが、取材者とか物書きとかジャーナリストなどと称される者たちは、沖縄はもちろん、在日コリアンの人びとに薄汚い罵声や憎悪を浴びせる連中を前に「どっちもどっち」論や「分断」論で傍観者を決め込んではならないんです。

※画像はイメージです。Photo by iStock
 

それは決して被差別者やマイノリティの人びとのためだけではなく、最終的には僕らのためでもあります。まず、差別問題で僕らは明らかに当事者であるということ。そしてこの対談のなかで安田さんがニーメラーの警句()を引いていましたが、マイノリティに対するそうした仕打ちを傍観し、徐々に燃え広がっていくことを許せば、いずれその腐った火の手が延焼して社会全体を蝕みかねないわけですから。

※ニーメラーの警句
ナチス支配下の牧師だったマルティン・ニーメラーはこう言っています。
「ナチスが共産主義を攻撃したとき、私は自分のことが多少不安だったが、共産主義者ではなかったから何もしなかった。ついでナチスは社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。ついでナチスによって学校が、新聞が、ユダヤ人が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。ナチスはついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した――しかし、それでは遅すぎた」と。
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まえがき 切り捨ての時代を招いたもの
第一章    対韓感情悪化の源流とそれをもたらした日本社会の構造的変化
第二章    友好から対立へ 日韓それぞれの事情
第三章    恫喝と狡猾の政治が生む嫌な空気
第四章    社会を蝕む憎悪の病理 ヘイトクライムを生む確信犯的無責任と無知
あとがき 矛盾から逃げてはいけない

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