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「遅れた国」韓国の巻き返しにいら立つネトウヨと、女子高生のバトル

この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体6
「匿名の悪意」の被害はもう止められないのか?
ネットに吹き荒れる誹謗中傷、国民を見殺しにする政府や権力者、強気を助け弱気を挫くメディアの病巣、日本の歪な現実の病巣を、いまもっとも硬派な論客、青木理氏(ジャーナリスト)と安田浩一氏(ノンフィクションライター)が語り尽くした+α新書『この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体』から、短期集中連載!

新たな韓流ブームは何を生むか

青木 日韓関係に携わる人びとの間でよく語られる言葉があるんです。日本と韓国の人びとは、それぞれがまったく別の外国に行くと自国と似たところを見つけて喜ぶくせに、日本と韓国を相互に訪ねた際は自国と違うところを見つけて腹を立てる、と。そもそも隣国同士の仲が悪いのは世界中によくある話でもありますし。

一方で最近は、とくに日本の若い人たちに韓国のポップカルチャーが相当広く浸透しているでしょう。僕はその分野にあまりくわしくないんですが、現在は第三次の韓流ブームなどと言われていて、音楽やドラマはもちろん、ファッションから文学にまで若い人や女性たちが夢中になっている。そういう層ではまた別の韓国観が広がっているのではないですか。

新大久保にあるK-POP関連ショップ

安田 僕は去年K-POPの取材をしたことがあります。日本人の若者がTWICEに続けとばかりに韓国に行って、向こうでレッスンを受けて芸能人になろうとしている。その子たちにインタビューしたんだけれど、良くも悪くも韓国に対する偏見がない。良くも悪くもというのは、歴史問題への興味も関心も感じられなかったからです。

そういうことを抜きにして、単純にカルチャーとしての韓国にはまっているし、韓国人の女の子と同じようなメイクをし、韓国のテレビに出たいと思っている。そういう若手たちが弘大あたりに大勢いる。

とくに女性の多くは下宿してレッスンに通っている。いい商売だから、芸能人になんかなれないとわかっていても、レッスンを受け付ける。けっこう高いんですよ。月に10万円くらいのレッスン料がかかる。そういう日本人の女の子をお客さんとしてどんどん受け入れていました。いまはコロナの関係で少なくなっただろうけれど。

そういう若い子たちの日韓交流は、僕らが知っている文脈とはまったく違う流れで続いているんです。コロナ禍においても、たとえばNetflixでドラマ『愛の不時着』が大ブームを起こしたのは、偏見なしに作品をストレートに受け止めて楽しんでいる人が増えたということで、悪いことじゃないと思いますね。というか頼もしいし、うらやましい。

ネットフリックスの『愛の不時着』ページ
 

韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』が日本でもそれなりに動員を招いたけれども、これまで韓国映画ファンには、韓国通を自称する人や、サブカル的な意味合いで韓国のカルチャーに深く接している人が多かったわけだけど、これらマニア層を遥かに超えて、普通に当たり前にいまの韓国の文化を受け入れる人たちが広範に生まれてきている。

韓国について、嫌韓とは違う文脈もあるんだな、と。ここにどう期待していいのか、まだ僕にはわからないけれども、それはきちんと見ておくべきではないかと思います。

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