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五輪「事前キャンプ」で役所に“クレームする人たち”の決定的な勘違い

自治体はある種の「被害者的立場」…?
大原 みはる プロフィール

簡単にやめるわけにもいかない

ちなみに、公表・報道もされているが、事前キャンプを受け入れる地方自治体の中には、運営に関わる職員に、新型コロナワクチンの予防接種を優先的に受けられるように手回ししたケースもある。

この業務に関わることで、一般市民や事前キャンプに関わらない自治体職員と比較して、感染者と接触するリスクが高いことをいみじくも示したわけなのである。

では、だからといって、公道での聖火リレーと同じような感覚で、事前キャンプをやめてしまえと言えばいいかというと、そう単純でもないのが、この話の難しいところだ。

 

そもそも、事前キャンプというのは、五輪におけるホストタウン事業と密接な関係を持ちながら、自治体が計画・準備してきたものだ。

誤解している人たちもいるかもしれないが、事前キャンプ事業で大事なのは、外国選手団を単に「おもてなし」するだけではないということだ。この事業にかかる費用は、遠征してくる側がすべて持つわけではなく、住民から集めた税金からも捻出される上、市民が地元の公共スポーツ施設を一時的に使えなくなるなど、市民に一定の不利益が生じる。だから、地元自治体(住民)にとっても得るもの(メリット)がなければならない。

その筆頭といえるものが、来日した世界のトップ選手から地域住民(特に子ども)が、異文化交流・スポーツ交流を通じて指導・刺激を受ける機会が得られることだ。日本でこれほどの大規模国際競技会が開かれるときでなければ、そんな機会は、めったに得られないだろうからだ。

しかし、その交流事業のかなりの部分が、コロナ禍で中止・縮小を余儀なくされ、地元自治体の得られるメリットは大きく減少あるいは事実上消滅することになった。オンライン方式で実施することにした自治体もあると聞いているが、音楽業界でライブコンサートの価値が高まっていたり、「オンライン飲み」はやはりつまらない、といった声があるように、リアルとオンラインでは、やはり大きく違う。

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