『浪費図鑑』の編著者であるひらりさが、「普通の幸せ」からはずれた女性たちの話を聞き、書き綴る本連載。10歳年の離れた既婚者の彼と一緒に暮らすために、タワーマンションを買った女性に話を聞きました。

本連載が一冊の本『沼で溺れていたけれど』にまとまりました。連載時には書ききれなかった「その後の話」を新たに書き下ろした「劇団雌猫」ひらりさの初の単著です。

住宅購入が気になる

30歳を過ぎた。結婚も出産もしていない、身軽な独身だ。当面独身貴族だし! と割り切って、ジュエリー、ブランドバッグ、バー通いなど、それまでは躊躇していた「贅沢」にもちょっとずつチャレンジしている。

ただ、なににも縛られてないからこそなかなか手を出せないものが、一つだけある。「住宅購入」だ。

同年代が集まる場でも話題にのぼるようになってきたが、独身にはいまいち入りにくいのがこのトピック。ジュエリーよりもブランドバッグよりもバー通いよりも、はるかに値のはる「贅沢品」といえるが、うまく価値をみきわめれば節税・投資効果のある財テクにもなりえる、非常にスリリングな買い物だというのは、うかがい知れる。

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頭金がどうのとか、DINKsにとっての予算上限とか、親の援助をどう引き出すかだとか、海外転勤で売却を急いでいる人から値切ることができたとか——。はたから聞いていても刺激的な議論ばかりだ。

実際、買おうと思えば、不可能ではないだろう。しかし今の状態で家を買ってしまうと、それに乗じて「永久に独身」のステイタスが固定化してしまうことになるんじゃないかという不安は大きい。いやそこまで結婚したいわけじゃないけど、でもなあ……とまた揺れる。

そんなふうに、周囲の住宅購入に対してかなりの眩しさを感じながらもとくになんら行動できずに暮らしているなかで、「不倫相手と暮らすために新築タワーマンションを自分名義で買い、一人でローンを組んで、今も返している」という猛者に出会った。大手広告代理店勤務のチヤコさん(35歳)だ。「女とお金」についての連載をしていると言ったら、快く取材に応じてくれた。