──確かに重要なことですよね。松本さんは自己肯定感がとても高いですが、どうやって培われたのでしょうか。
私は誰も認めてくれなかったから、自分だけは自分を認めてあげよう、自分だけは自分の味方でいようと思っていましたね。また、「自分で自分の味方になれるような自分でありたい」という気持ちで行動してきたので、自己肯定感が自然と上がったんだと思います。

自己肯定感を上げたいなら、小さな時から「あなたはすばらしい。でもこの先の社会では荒波に揉まれる運命にあるから、自分しかプロデューサーはいないってことを自覚してほしい。自分のことをサポートできる人であってください」と伝えてあげるといいのではないかと思いますね。
他人に頼っていたら、その人の船が沈んじゃったら自分も沈んじゃうじゃないですか。でも自分で船に乗っていれば、誰にも頼らずに進んでいけるし、何なら自分がもう少し強い力を持てば、他人のことも助けられるかもしれないですから。
地方で感じた「格差」
──徳島県から海外受験をされる中で、地方格差を感じたことはありましたか?
何度もあります。例えば、TOEFLを受験しようと思っても、徳島には受験会場がなく、東京か大阪に行くしかありませんでした。TOEFLの受験料が1回あたり3万円くらいするので、交通費と宿泊代をプラスすると、その倍以上の金額がかかってきます。しかも私は英語が苦手で点数が上がらなかったので、受験回数がどうしても増えてしまいます。
──地方の学生にとっては厳しい現実ですね。松本さんはどのように乗り越えたのですか?
新型コロナウイルスの感染拡大によって、TOEFLが自宅受験できるようになったんです。すごく助かりましたね。さらに、英語の学習アプリで有名な「Duolingo」が実施している「Duolingo English Test」が、多くの大学で導入されはじめて、スタンフォードやマサチューセッツ工科大学など、多くの大学受験にも利用できたんです。1回あたり49ドル、つまり約5000円で完全オンラインで受験できるので、とても助かりました。
──海外の大学を受ける上で、そうした大学受験に強い塾に行く必要もあると聞きます。
名門校以外の学生が、日本国内の高校からアメリカの大学に進学しようと思ったら、海外大学への進学に特化した塾に行かないと、ほぼ無理だと言われています。でも、私は徳島県に住んでいて東京まで通う事もできないし、入塾のために一定程度のスコアが必要なのですが、それも足りないような状態でした。
――では、どうされたのですか。
地方出身者で、海外進学に苦労した経験のあるメンバーが「atelier basi(アトリエバシ)」という団体を設立し、受験生を支援していたので、すぐに応募しました。地方に住んでいても、オンラインで海外進学のための支援が完全無料で受けられたので、本当にありがたかったですね。
──具体的にはどのようなサポートをしてもらいましたか?
エッセイの添削や自己分析のサポート、そして、出願校を決めるサポートまでしてもらいました。「アトリエバシ」では、メンターが受講生のことをよく知った状態でエッセイを添削してくれるので、「この子のいいところはこんな所だ」と人間的な部分も見てくれるんですよね。「この表現だったらあなたのこういう良さが出ていないよ」という言い方をしてくれたので、とても愛のあるサポートでした。