資産運用トラウママップが示す、失われた30年、日本人の世代別傷跡

投資に消極的なのは国民性ゆえではない

「老後資金の2000万円問題」から2年

今から2年前、筆者も委員として参加した2019年の金融審議会でいわゆる「老後資金の2000万円問題」が話題となった。そこでの問題意識は「貯蓄から投資」の実現を世代別に考えることにあった。

日本の家計金融資産は1948兆円と、2021年には2000兆円突破が見込まれる。一方、日本の家計金融資産は54.2%が現預金、欧米と比べて現預金水準が異例に高く、長らく「貯蓄から投資へ」が課題になってきた。

日本人が投資に向かわないのは、日本人の国民性や金融リテラシーの低さにあるとされるが、筆者は必ずしもそう思っていない。日本ではバブル崩壊後、10年以上続く株安のなかで、資産運用を手控えるトラウマ意識が根強く生じた可能性がある。

岡三証券では、世代別に抱く資産運用に対するトラウマを考えるために以下の図1に示される「資産運用トラウママップ」を考案した。日本で資産運用に向かなかったのは日本人の国民性でなく、資産運用で損失を経験した履歴効果、トラウマの存在が大きいからだと考えている。

 

■図1 日本の株式市場のトラウママップ

(出所:Refinitiv 作成:岡三証券 日経平均株価をドルコスト平均法で毎月一定額買い付けた場合の期間別リターンの複利年率換算値。マップ内数値の単位は%。配当は考慮していない。各投資開始時点は、各初年度の1月末。その後は12月末時点を用いて算出。トラウマ期間は投資期間におけるマイナス利回りの年の比率を示す。)

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