その土地の風土や文化を背景に、日本人ならではの器用さと繊細な感性をもって長年受け継がれてきた伝統工芸の世界。先人たちの知恵のもと、現代の暮らしに心地よく寄り添うモダンなプロダクトを生み出す逸材がいます。

「日常的な上質さ」「クラフトマンシップ」、そして「美」。まさに「JAPAN’S AUTHENTIC LUXURY」=「JAXURY(日本が誇るほんもの)」というべきものづくりに挑む、開化堂6代目の八木隆裕さんを訪ねました。

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心地よさという価値を
丁寧にシェアしていくことで、
その先の未来が見えてくる

登録有形文化財に指定されている建物をリノベーション。「このカフェはいわば、開化堂の応接間。海外の取引先の方が友人を連れて遊びにくることも」と八木さん。

明治8年創業、日本で最も古い歴史をもつ手作り茶筒の老舗メーカー、開化堂。初代からの製法を忠実に守りながら130以上の工程を経て完成する茶筒は、蓋を茶筒の口に合わせるだけで、おのずとスーッと閉まっていくさまがなんとも見事だ。

素材は銅、ブリキ、真鍮。使い込むことで素材特有の色の経年変化が生まれ、味わいが深まっていく。

「気密性を追求した結果、生まれた賜物です。蓋を開け閉めする瞬間の心地よさ。そこに開化堂のすべてがあると思っています」と6代目の八木隆裕さん。伝統工芸は存続が難しい分野のひとつだが、海外からの観光客が自宅用に茶筒を購入する姿を見て可能性を感じ、継ぐことを決意。

2階の小部屋は今後、商品の販売スペースとなる予定。

コーヒー缶やウォーターサーバーなど現代にマッチする製品を新たに開発し、海外の展示会にも積極的に参加してきた。5年前には開化堂を身近に感じてもらえる場所として、ここ「Kaikado Café」もオープン。

店内ではコーヒーのほか、お茶やスイーツも味わえる。

「この界隈は、僕が子どもの頃は畳屋さんやかるた屋さんで賑わう下町で、多種多様な人々がうごめいているのが当たり前でした。そのおかげで自然と身についた、どんな人にも色眼鏡で見ずに接する感覚は、海外とのやり取りや日々の仕事にも生きていますね」

八木隆裕さん。若い職人が働きやすい環境づくりや次世代向けのプロジェクトにも取り組む。

持ち前のコミュニケーション能力と柔軟さを生かし、今後も「職商人」として、作るだけでなく伝える努力も続けていく。

2019年には、パナソニックと共創したワイヤレススピーカー「響筒(きょうづつ)」も話題に。

「日常にある使い心地のよいものが、気づいたら実は工芸品だった。そんなふうに心地よさという価値をシェアしていくのも、工芸のもつ使命だと思います」

Kaikado Café
京都府京都市下京区住吉町352
☎075-353-5668
定休日:不定(公式サイトに営業日カレンダーあり)