一見、真咲美さんはどちらの裁判でも勝利を手にしたと言えるでしょう。ですが、真咲美さんは2つの裁判のかけもちに疲れ切っていました。
「裁判では、彼が妻と離婚の話など全くしていなかったこと、単なる単身赴任で別居すらしておらず、家族仲は良かったことなどが次々と明らかになっていきました。彼の言っていたことがすべて嘘だとわかっていても精神的にはきつかったです。
裁判には勝ってよかったと思います。ただ正直薄氷の勝利というか、一歩間違えば、私は負けていました。
マッチングアプリで知り合った彼を100%信じるなんて軽率もいいところ。そんな危ない橋を渡ってきたのかと思うと、裁判費用を出してくれた両親に申し訳なくて…。この件が無事解決して、早く解放されてよかったというのが本音です。」

一方で真咲美さんは透さんの子どもを妊娠していました。その件について、訴訟終了後に真咲美さんに尋ねてたところ、
「裁判中に証人として出てきた彼の姿を見て、最終的に中絶することに決めました。
一人で産んで育てるという選択肢もさんざん考えましたが、不倫相手の子どもであるという重い十字架を生まれてくる赤ちゃんに背負わせるわけにはいかなかったですし、誰も祝福してくれない出産です。
しかも、私から逃げることばかり考えている男の子どもを産む決断はできませんでした」ということでした。
また、「交際をする前に彼の行動を怪しいとは思わなかったのか?」「彼の話に違和感を感じなかったのか?」ということも率直に真咲美さんに聞いてみました。
「そうなんです。私自身、なぜ彼の言うことを100%信じてしまったのだろうと、何度も当時の状況を反芻しました。言い訳がましくなるかもしれませんが、いくつか理由を思いついたので言います。
まず、私は(自分を棚に上げて)婚活アプリを「モテない人が登録するもの」と見下していたことが大きかったように思います。既婚者やヤリモクの男性が混じっていうことは重々承知していたのに、自分は騙されるわけがないと過信していました。このことはいくら後悔してもしきれません」