2021.07.04
# 学校・教育

性教育が「遅れに遅れに遅れている」日本の学校教育に対して言いたいこと

「寝た子にこそ性知識」
みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT』(ちくまプリマー新書)が刊行されました。トランスジェンダー当事者である著者の遠藤まめたさんが、日本の性教育について考えます。

知識を与えると「フリーセックス」になる?

日本の学校では「思春期になると異性を好きになる」という教科書が使われています。セックスや避妊などについて教えることについても、日本の学校はあまり積極的ではありません。

以前、仲間たちと性教育の出張授業でいろいろな学校を回っていたときには、事前に先生から「コンドームは持ち込んでもいいけど、封は切らないで」とか「保健室の中でみせるのはいいけど、廊下には出さないで」なんて注意をよく受けました。

実は、日本の学校では中学校でも「受精に至る過程」、つまりセックスは取り扱わないようにと学習指導要領には書かれています。あるところに卵子と精子が存在し、なぜか受精し、生命が誕生することになっています。

〔PHOTO〕iStock
 

なぜ、日本で性教育が遅れているかというと、子どもたちに性教育をすると「寝た子が起きる」と考える人がいるからです。知識を与えると、子どもたちは発情期をむかえたサルのようになり、フリーセックスになると恐れているのです。

二〇〇四年に宮崎県にある都城市で、当時としては先進的な取り組みとしてLGBTの保護をうたった男女共同参画条例案が作られたことがありました。このときにも、反対する人は「都城市が同性愛者のフリーセックス・コミューンになってしまう」とあわてていました。このような人たちにとっては、人類はちょっとした刺激でフリーセックスをはじめてしまう危険生物であるようです。

実際には、性教育の進んでいる国では、若者たちの性行動はむしろ慎重になることが分かっています。たとえば性教育の充実したオランダでは中学校でコンドームやピル、LGBT、オーガズムなどを授業で扱っていますが、子どもたちの初交年齢は近隣諸国よりも高めです。

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