感染急拡大中のインドネシアで湧き上がる「中国製ワクチン」への不信感

政府の対策は後手後手かつ消極的で
大塚 智彦 プロフィール

メディアも大統領に厳しい見方

インドネシア政府、州政府のジョコ・ウィドド大統領、アニス・バスウェダン州知事の後手後手で消極的な感染拡大防止策には、インドネシアメディアも最近厳しい論調で責任を問う姿勢を示し始めている。

主要英字紙ジャカルタ・ポストは6月25日、「ジョコ・ウィドド大統領のパンデミック・ギャンブル」と題する記事を掲載して、大統領のコロナ感染防止対策がまるで「ギャンブル」のように一か八かの危うさを内包している、と手厳しく指摘した。

また最大与党「闘争民主党(PDIP)」関係者は、こうした政府の消極性の背景には2024年に予定される次期大統領選があるとの見方を示す。

Gettyimages

ジャカルタのアニス・バスウェダン州知事は、次期大統領選への出馬意欲を秘めているとかねてから言われており、野党的立場からジョコ・ウィドド大統領には批判的だったが、最近は大統領批判を控え、コロナ対策でジョコ・ウィドド大統領の意向に沿った対策を反映することで大きな失点を回避しようとしているとの見方が有力だ。

さらにジョコ・ウィドド大統領は再選規定で3選目となる次期大統領選挙に大統領候補としての出馬は規定上不可能だ。だが国会の一部議員からはその規定を変更して3選を可能にしようとする動きも伝えられている。

ジョコ・ウィドド大統領本人は「次期大統領選への出馬の可能性は全くない」と出馬には否定的だ。しかし一方で、支持母体であるPDIP所属の次期大統領有力候補者への国民的支持を確実にするために、財界や経済界の支持を失わないよう思い切った感染防止対策に消極的姿勢を続けているのではないか、とも指摘されている。

 

このように、インドネシアのコロナ禍は政治、経済の様々な思惑の中で迷走しており、その影響で感染拡大の次の波を迎えている。そうした動きの渦中で必死に活動する医療関係者、中国製ワクチンを接種した国民、さらに感染拡大の危険に晒される多くの国民が巻添えとなる事態が深刻化しており、もはやコロナ感染拡大は「人災」との声も出ている始末だ。

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