感染急拡大中のインドネシアで湧き上がる「中国製ワクチン」への不信感

政府の対策は後手後手かつ消極的で
大塚 智彦 プロフィール

鈍い対応に終始する政府、州政府

しかしながら、こうした現状に対する政府、地方政府の対応は残念ながら鈍いと言わざるを得ないの。

ジョコ・ウィドド大統領は連日のように各地を訪問して国民のワクチン接種状況を視察する様子がテレビ、新聞、ネットメディアなどで伝えられている。しかし、感染が最も深刻なジャカルタに対して人流や物流を厳しく制限する「ロックダウン(都市封鎖)」の宣言は「経済活動への影響が深刻となる」としてこれまで踏み切ることはなかった。

ジャカルタ州政府のアニス・バスウェダン州知事もジョコ・ウィドド大統領の消極的姿勢を反映して「市民は週末には自宅で過ごすように」と呼びかけるなど、ほとんど効果的な感染防止対策を打ちだすことができない状況だ。

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ジャカルタには感染拡大に対応してこれまで出されていた「小規模単位での社会活動制限(PPKM)」を「大規模社会制限(PSBB)」への一段格上げは見送り、6月22日にPPKMの強化を出すに止まっている。

強化策はオフィスなどの出勤者を25%に制限、レストランやショッピングモールの営業は午後8時までで客も25%に制限、学校など教育機関ではオンライン授業が強化された内容とされている。しかし、それらの対策が実質的な効果を上げるには至っていないことは、一日の感染者数がジャカルタでも5000人前後で推移していることからわかる。

 

こうした状況の中、西ジャカルタに住む23歳の女性が検査でコロナ陽性と判定されたことを苦に病院の3階から飛び降り自殺するというケースも報道された。背景にはコロナ感染が与える親族や近所の住民への「ネガティブ・インパクト」や「風評被害」、満床状態の病院での治療態勢への心配、さらにコロナ感染死者の急増に伴う不安などがあったものとみられている。

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