感染急拡大中のインドネシアで湧き上がる「中国製ワクチン」への不信感

政府の対策は後手後手かつ消極的で
大塚 智彦 プロフィール

中国製ワクチンへの疑問

さらに深刻なのは、ワクチン接種を優先的に受けた医師や看護師などの医療関係者350人以上がコロナに感染し、うち数10人が治療のため入院を余儀なくされていることだ。前述のように、少なくとも10人の医師が既に感染死しているという衝撃的なニュースも流れた。

これはインドネシアに無償提供された中国製ワクチンを多くの医療関係者が2021年初めから優先的に接種した結果といわれており、中国製ワクチンの安全性、信頼度を大きく揺るがせる事態ともなっている。

Gettyimages

米ニューヨーク・タイムズは6月22日、「中国のワクチンに頼った国は今、感染拡大と戦っている」との記事を掲載して、中国製のワクチンに対する警戒を呼びかけ、その有効性、安全性に疑問を呈した。

ファイザー社とモデルナ社のワクチンは有効性がいずれも90%以上と確認されているのに対して、中国製のシノファーム社とシノバック社の有効性は78%、51%に留まっているという。

同紙は「因果関係は完全には判明していない」と慎重な姿勢を示しながらも「中国製ワクチンには感染を防ぐ効果は思ったほどないのかもしれない」と指摘、中国製ワクチンの感染予防効果への疑問を明らかにした。

インドネシアの保健当局は中国製ワクチンの有効性、安全性を、事前に検証している。そして「お墨付き」を得てから、政府は接種を許可して、医療関係者、政府関係者、軍・警察など治安当局関係者、宗教関係者、教員など教育関係者へと優先的に割り当ててきた。

 

現在ではアストラゼネカ社など中国製以外のワクチン接種も進んでいるが、初期に優先的に中国製ワクチンの接種を受けた医療関係者の間でコロナ感染が広がり、死者まで出ているという状況は、ショッキングな事実といえるだろう。

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