SNSで、『ボディポジティブ』なメッセージを発信し人気を集める、プラスサイズモデルの吉野なおさん(モデル名:Nao)。

プラスサイズモデルを8年続けているなおさん。写真/吉野なお

なおさんは、「ボディポジティブ」という言葉ができる前、モデルになった頃(8年前)から同じようなことを発信し続けている。最初は、誹謗中傷も多かったが、最近変化が生まれているという。「もちろん、今もいろんな意見はあります。でも、意識の変化を実感することも増えています」と語る。今回は、なおさんの周辺で起こっている「変化」について寄稿してもらった。

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ダイエット企画の「アフターの先」は語られない

自分のありのままの体を受け入れ愛する『ボディポジティブ』の話になると、「何がボディポジティブだ、太った人の言い訳だ、デブは不健康だから痩せろ」といった意見を言ってくる人がいる。

他人の体型を執拗に取り締まる彼らの存在を『デブ警察』と私は呼んでいるのだが、一方で、ボディポジティブの考え方に出会って生きやすくなった女性たちの話をよく聞くようになった。

今から20年ほど前……、私が高校生の頃は世の中にまだ『ボディポジティブ』という言葉が存在していなかった。涙を流しながらダイエットの成功を喜ぶテレビ番組や、雑誌のダイエット企画などを見ることは、痩せたがりの当時の私にとってはダイエットのモチベーションであり、焦燥感をかきたてることでもあった。

特に数十キロの大減量した人のビフォーアフターの写真は、まるで別人になったようで、自分の容姿にコンプレックスがあった私は、ダイエットで変身を遂げた女性たちが羨ましくて仕方がなかったのだ。

しかし、大幅なダイエットに成功した人のその後の人生……『アフターのアフター』がどうなったかは報じられることはほとんどない。では私の例をお伝えしよう。

私の場合は、始めはお菓子をやめる程度軽い気持ちで始めたダイエットだったが、1年ほどかけてどんどん食べ物を減らした結果、30キロ減量した。最終的には低カロリーやノンカロリーにこだわり、かなり厳しかった。でも、そんな生活は当然長続きはせず、過食症に転じた後は、最初の1ヵ月では約10キロ近くリバウンドしたと記憶している。そこから、過食したり絶食したりしながらじわじわ太り、何年間も食べ物と体について悩むことになった。

常に体重を気にして体重計に乗っては、一喜一憂していた。photo/Getty images

繰り返すが、どんな体でも自分を愛そうというボディポジティブの社会的エンパワメントの概念は当時まだほとんどなく、ふくよかな体型でいることは、否応なしに蔑まれたりダイエットを促されるイメージが当たり前だった。私自身、「太っている自分はダメな自分だから、とにかくまたダイエットして痩せなければいけない」という思い込みに苦しんだ。

そこからやっとの思いで回復し、プラスサイズモデルの仕事を始め、自分の経験を世の中に打ち明けてみると、多くの女性たちから共感の声や、ダイエットにまつわるさまざまな体験談が私の元に寄せられるようになった。数年前に欧米でボディポジティブのムーブメントも起きた。ダイエットで人生がより良く変わったどころか、むしろダイエットで人生が狂ったという女性たちが、私以外にもたくさんいたことに気づいたのだ。