2021.07.12
# 本

中村倫也が語る「エンターテインメントの一番目指すべきところ」

何十年後でも価値があるものを
三宅 香帆 プロフィール

正直ステイホーム期間になって、エッセイに何を書いたらいいんだろう? と悩みました。だって何を書いてあっても、結局コロナだし。でも本音しか書けない。

じゃあ逆に、何十年か経って読まれたときに「コロナってこんな感じだったんだ」って面白がってもらえる本になるといいな、と思うようになりました。スペイン風邪みたいに、コロナ関連の文献がいつか参照されるようになるかもしれないし。そのときの人の感情って、あまり数字からは伺い知れないでしょう。エッセイも、そんなふうに読んでもらえたらいいか、と思ったんです。

自分が思っていた以上に、自分を追い込んでいたらしい。僕と関係なく四季はめぐる。愛は芽生える。去年と今年の五月は違うけど、今年と来年の五月も違う。大丈夫だと、立ち上がるついでに夏が、僕の荷物を持ってくれた気がした。マンションのオートロックの前でこっそりマスクをずらし、大きく息を吸い込んだ。生きるものの匂いがした。
(『やんごとなき雑談』p157「めぐる」)

大ブレイクの期間中に執筆したエッセイ『やんごとなき雑談』では、自身の変化がありありと描かれている。その具体的な変化については、後編「大ブレイクで環境激変…中村倫也が『自分で自分を受け入れる』まで」でお届けする。

 

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