多くの人が知らない…教育の「格差」と向き合う〈しんどい学校〉の先生の「仕事」

中村 瑛仁 プロフィール

〈しんどい学校〉に手厚い支援を

〈しんどい学校〉は、貧困家庭の子どもや外国にルーツのある子どもなど、社会的に不利な立場にいる子どもたちを引き受ける非常に重要な場です。

学校は、生活の苦しい子どもたちの重要な「居場所」となりますし、様々な立場の子どもたちが互いのつながりをつくる場にもなります。そうした子どもたちが十分に支援され、自身のキャリアの展望をもつようになれば、ひいては教育格差の是正につながっていきます。

ただ、〈しんどい学校〉の子どもたちを学校に包摂するためには、ここまでみてきたように他の学校に比べて、より多くの支援が必要です。子どもたちと向き合うために、より多くの教師を配置したり、支援のための研修や外部人材との連携、あるいは先生たちに時間的な余裕を与えたりする必要があります。

しかしながら、私が見る限りこうした学校への支援は十分ではありません。冒頭でみたように、日本の先生たちは国際的にみても多忙です。〈しんどい学校〉の先生たちはさらにサポートが必要ですが、日々の取り組みは基本的に先生たちの「善意」でカバーされている部分が大きいのが現状です。

写真はイメージ/photo by iStock
 

というのも、日本の学校制度では「どの学校も同じ条件に」という考えが基本にあります*9。それが意味をもつ場合もありますが、同じ制度的な条件では〈しんどい学校〉への支援は十分とは言えません。格差を是正するために、学校の状況にあわせて積極的な支援を可能とする制度設計が必要です*10

では私たちにできることはなんでしょうか。一つは、教育格差やここで紹介した〈しんどい学校〉の実態に関心をもってもらうこと、そして教育格差の是正のために、こうした学校への積極的な支援を支持してもらうことです。みなさんが関心をもち、支持をしてくれることは、行政を通じて公的な資源を投入することを後押ししてくれます。

さらに、教育制度の改善のためには、エビデンスが必要です。残念ながら、日本の行政の場合、保護者の世帯収入や学歴といったデータをとることを忌避する傾向があります。しかしこうしたデータをとらないと、教育格差の実態や〈しんどい学校〉のニーズも把握できません。個人が特定されない形でこうしたデータを集め、データに基づく政策提言がなされるようにすること、これもみなさんの民意によって後押しされることでもあります。

教育格差は一朝一夕で是正できるものではありません。日々、厳しい環境に置かれている子どもたちを支えている先生たち、かれらをサポートするための学校や制度のあり方を一緒に考えていきましょう。

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