多くの人が知らない…教育の「格差」と向き合う〈しんどい学校〉の先生の「仕事」

中村 瑛仁 プロフィール

〈しんどい学校〉での教師の役割

校区のSESの厳しい学校では、学級のなかに様々な課題を抱える子どもが在籍します。そうした学校では先生たちは、どのように子どもと向き合い、日々仕事をしているのでしょうか。

私はこれまで関西の小学校・中学校を中心に学校でのフィールドワークをしてきました。関西では、校区のSESの厳しい学校は〈しんどい学校〉と呼ばれたりします。

「しんどい」という言葉は、関西では「厳しい」「たいへん」という意味合いがありますが、先生たちはネガティブな意味だけでなく、愛着や親しみの意味も込めてこの言葉を用いています。ここでは私が調査してきた学校もあわせて〈しんどい学校〉の様子を紹介していきます。

 

まず〈しんどい学校〉では、生徒指導(生活指導)が特徴的です。生徒指導とは、子どもの生活全般へのケアや学校の規則・ルールを教えることを指します。特に〈しんどい学校〉では、学級の規律をコントールすることが求められます。

図4は、教師が授業時間内に費やす活動の割合を学級のSES別にみています。SESが厳しいほど、学級をコントロールすることに時間を割いており、その分、学習指導にあてる時間が少なくなっています。

家庭背景の厳しい子どもは、学校での規則やルールに馴染みにくかったり、規律正しい行動が苦手だったりする子どもも少なくありません。これはその子の「能力」の問題というより、学校で当然とされている学習や規則のルール、言うなれば「学校文化」に馴染みやすいかに左右されます。〈しんどい学校〉の先生は、そうした子どもをケアしつつ、学級をコントールすることが必要なのです。

そのほかにも、低学力層の子どもたちの学習意欲を喚起させる授業の工夫や、基礎学力を定着させること、学校に対して不信感をもっている保護者と協力関係を築くことなど、他の学校よりも手間暇のかかる取り組みが求められます。ときには「荒れた」学級で授業をしなくてはならないこともあります。

先生へのインタビューでも、多くの先生がこうした学校の様子に最初は困惑し、適応するまでに様々な悩みや葛藤をした経験が語られました。ここでは一部のみ紹介しましたが、詳しくは拙著『〈しんどい学校〉の教員文化』を参照してもらえればと思います*7

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