メディア企業「ウォルマート」の誕生
ウォルマートは、世界最大の小売り企業であるが、彼らの変身ぶりを分かりやすく説明するには、次の言葉が適していると筆者は考えている。
「ウォルマートはメディア企業と化した」――。
小売企業だった彼らがなぜメディア企業となっているのか。そこに彼らの大戦略の秘密が隠されているのだが、まずは現状のウォルマートの業績から説明していこう。
コロナ禍以前の2019年の売上高を100%として、日本最大の小売企業「イオン」とウォルマートを比較してみよう。イオンが2020年、21年ともに101.01%、売上が増加したのに対して、ウォルマートはどうだったのか。

20年には101.86%にとどまった売上は、21年に108.70%まで伸びている。
コロナ禍にあっても両者は売上を減らすことはなかった。これは驚異的なことではあるが、むしろ、ウォルマートはコロナ禍に売上を大きく伸ばしたと言うべきだろう。
それこそが、アマゾン・エフェクトにさらされながらも、過去10年近くにわたりDX化を進めてきた成果と言えるものだった。