女性は「ママ」になると急にB面の住人にさせられる

田房:A面が悪だとかって話ではもちろんないし、B面だけでは無秩序で社会が成り立たないんだけど、この社会ではあまりにB面が軽視されてますよね。現代では多くの人が、生まれた直後から大人たちの手によってオムツをつけられる。オムツをしてなかったらとんでもない場所でうんちが出ちゃったりして大人たちが大変になっちゃう。

排泄ルールを学ぶ時期までのつなぎとしての赤ちゃんのオムツは、人間社会(A面)を円滑に進めるためのA面アイテムなんですよね。そうやってみんな、生まれた瞬間からA面で生きていけるように学ばされる。それで幼稚園や保育園で団体行動を送って、義務教育の中で、相手の気持ちを考えよう、迷惑をかけないようにしよう、つまり自分のB面(気持ち、感情、心)よりもまずは相手の立場や事情を優先しようっていう教育を受ける。社会人になるときには男女ともにA面の住人になっている。

清田:オムツから始まっていたとは……! でも言われてみれば確かにそうですね。受験や就活なんてまさにA面の象徴だし、仕事でも個人の感情は無駄なもの、邪魔なものとして扱われたりするわけで。

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田房:私も妊娠するまではA面から見た光景しか知らなかった。だけど「ママ」になることで急にB面の住人にさせられた、という感覚がありました。労働して賃金を稼いで納税して生活するというのはA面の作業なんですね。でも育児というのはB面の作業。

私の夫は、一人目が生まれたとき、赤ちゃんの世話や家事というB面の作業もしていたけど、あくまで労働時間外にやってました。労働時間は変わらずに確保できていて、夫のA面は何も変わらなかったんです。

でもなぜか女の私は自分のA面を完全に破棄した状態でB面の作業だけをやらなければいけないことになってた。夫と私の意識も「家事育児は妻がメインで担当するんだろうな」だったし、育児について教えてくれる保健所や育児雑誌とかも全部そういう前提で話してくるからそういうもんだと思ってました。