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“棒”と“ひも”を使った円周率のかんたんな測り方…人類と「π」の出会い

『円周率πの世界』2

世の中には、ふしぎな魅力で人を惹きつける「数」や「図形」が存在します。なかでも古くから人類を魅惑し続けてきたのは「π」と「円」ではないでしょうか。そこには、どんな数学的な秘密が隠されているのか……話題の新刊『円周率πの世界——数学を進化させた「魅惑の数」のすべて』の内容を短期連載で紹介いたします。

円周率の測り方

円の直径に対する円周の長さの比のことを「円周率」と名づけたり、その数値を「π」と表現するようになったのは、じつはわずか数百年前のことです。しかし、円周率やπという言葉は便利ですし、多くの読者のみなさんが馴染んでいらっしゃることと思いますので、ここでは最初から使っていくことにします。

まず初めに、昔の人々がどのように円周率を計算してきたかを考えてみましょう。円の直径と円周の長さは「ひも」で測ることができます。いちばんかんたんな方法ですから、実際に用いられていたと考えられています。

2本の棒とひもを用意しましょう。

まず、1本の棒を地面に立て、これにひもの一端をくくりつけます。ひものもう片方の端には、別の短い木の棒をくくりつけます。地面に立てた棒が円の中心、ひもの長さが半径になります。

ひもをゆるみのないようにピンと張り、短い木の棒で地面に沿って溝を掘っていきます。掘りはじめの地点に戻ったところで、円の形をした溝が描けました。

半径にしたひもの2倍が直径なので、その長さのひもと、さらにもう1 本、もっと長いひもを用意します。この長いひもを円の溝に入れて、円周の長さに合わせます。

この作業で、直径の長さのひもと、円周の長さのひもができました。それぞれの長さがわかれば、円周の長さに、直径の長さがいくつ含まれているか、調べていくのはかんたんです。

次の図のように、線分ABを円周の長さ、線分CDを直径の長さとします。

線分ABの中に、線分CDがいくつ入るかを調べます。線分CDが三つ入ったところで、線分ABがほんの少し余ります。この余りを r とします。

次に、この余りの長さ r が線分CDの中にいくつ入るかを測ります。こんどもぴったりは決まりません。7個だともう少し余り、8個だと線分CDより長くなってしまいます。ということは、

7r < CD < 8r

すなわち、

1/8 CD < r < 1/7 CD

です。

円周(AB)が直径(CD)の何倍かというと、3倍と1/7だとちょっと大きくて、3倍と1/8だとちょっと足りないということを示しています。よく見ると、πは1/8よりも1/7に近いところにあるのがわかります。

この方法が、円周と直径の関係を求めるいちばん簡単な方法です。実際に、古代バビロニアでは、ここに登場した1/8という値が使われていました。

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