徹底分析!Windows 11投入でマイクロソフトが目論む新戦略

アップルやGoogleとどう戦うのか
西田 宗千佳 プロフィール

意外に複雑なサポート期限

「重要なのは、ユーザーにとっての利便性です。何か困ったことがあってユーザーがサポートに連絡したときなどに、どのバージョンを使用しているのかを簡単に説明できるようにしたかったのです」(ウッドマン氏)

すなわち、Windows 10として開発が進んでいたアップデートではあるものの、ユーザーにとってもサポート業務にとってもわかりやすくするためには、「サービスとしては継続」でありつつも「名称は変える」必要があったわけだ。

Windows 10では現状、アップデート時期を示す細かな番号でバージョンを区別している。同じWindows 10であっても、実際にサポートが続いているのは比較的新しいバージョンのものに限られているのが実状だ。

個人向けの場合、2019年秋に公開されたアップデートである「1909」以前のバージョンは、すでにサポートの対象外となっている。

これに加えて、さらに新しいハードウエアのサポートなどが始まると、ユーザーにとって、確かに状況はわかりにくくなる。

ちなみに、Windows 10のメジャーアップデートがいつまで続くかは不明だが、現行のWindows 10は「2025年10月14日」にサポートを終了する。それまでには、Windows 11への移行をすませる必要がある、ということだ。

MRIを活用してインターフェースを改良

では、機能面ではどのような変化が盛り込まれるのか?

スタートメニューは中央に移動し、タイル状の区分はなくなる。その理由は、「マウスの移動距離が短くなるから」(ウッドマン氏)だ。ウィンドウの色や透過度が調整され、各ウインドウの角も丸くなった。

【写真】Windows 11のスタートメニュー Windows 11では、スタートメニューの位置が「中央」に移り、シンプルな構成に変わる

こうしたユーザーインターフェースの変更には、さまざまなリサーチの結果が反映されている。

最も特徴的なのが、「MRI(磁気共鳴画像)」の活用だ。MRIといえば医療用の検査装置のイメージがあるが、いったい何に使用したのか?

MRIを使うことで、行動中のユーザーの「脳のはたらき」が可視化できる。それを解析することでWindowsのユーザーインターフェースの使い勝手を確認することができ、どこに問題があり、どう変更すべきかを決定したのだ。スタートメニューの変更はその一例だ。

「たとえば、Windows 10のライブタイルには、たくさんの情報が表示されています。ひと目でわかる一覧性の高い情報が欲しくないわけではありませんが、このような形式では多量の情報に圧倒されてしまうこともまた確かです。

そのことについて問われても、人々は直接的には"イヤだ"とはいわないのですが、MRIの結果からは、好ましくない状況であることが如実に示されていたのです」(ウッドマン氏)

MRIの解析結果を活用して、「脳がカオスだと感じている」ような状態を避け、よりおだやかな状態で使える方向性に改良したのがWindows 11、ということになるだろうか。

もちろん、ユーザーから多くの不評が寄せられているのなら、マイクロソフトも変更を考える。現在のWindowsには、開発途上のものを公開する「Windows Insider」というしくみがあるが、それは動作検証のためだけでなく、ユーザーインターフェースなどに関する反響を調査するためでもある。

Windows 11についても6月28日以降、近日中に開始される予定となっている。ただし、公開されるのは開発初期版で、この年末までに公開される「正式版」での機能をすべて備えているわけではない。完成に向けて順次、搭載されていくという。

そして、今回のOS刷新にあたっては、「コロナ以後」らしい変化も加えられている。

関連記事