マイクロソフトは6月24日(アメリカ時間)、新しいOS「Windows 11」を発表した。
日本時間で24日の深夜には、オンラインによるイベントも開催され、その詳細が発表された。
「Windows 11」は、具体的にどのようなOSになったのか?
Windows 10との差はどのようなものになるのか?
早速、解説していこう。
無償でアップグレード
「このバージョンは、Windowsの新しい時代の最初の存在です」
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「Windows 11」発表イベントでこう話した。

Windows 10が登場したのは、2015年7月のこと。すでに6年が経過している。Windowsとして「名前が変わる」のは久しぶりのことだ。
まず、多くの人が気になるであろうことをズバリ説明する。
Windows 11は、Windows 10から無料でアップデートできる。無料アップデートの期限も設けられていない。すなわち、新OSだからといって追加費用が発生することはない。
最低動作条件は以下のとおりだ。
- クロック周波数1GHz以上の64ビットプロセッサー(インテル・AMD・クアルコム製)
- メインメモリー4GB以上
- ストレージ64GB以上
Windows 10の最低動作条件は、
- クロック周波数1GHz以上のプロセッサー
- メインメモリー1GB以上(32ビット)/2GB以上(64ビット)
- ストレージ16GB(32ビット)/20GB(64ビット)
だったので、少し厳しくなっている。
旧世代マシンでもパフォーマンスが向上
ただし、Windows 10の最低動作条件はすでに、「快適に動かす」には相当苦しいレベルだ。2012年発売のWindows 8から使い続けている製品や、低価格PCの一部が該当するが、それらの機種ではそもそも、Windows 10の動作は快適ではなかった。
一方、現時点で使用しているPCでWindows 10が快適に動いているなら、Windows 11になっても、動作速度が遅くなることもなさそうだ。
それどころか、マイクロソフトのチーフ・プロダクトオフィサーであるパノス・パネイ氏は、「パフォーマンスが上がる」と説明する。

「スリープ状態からの復帰が、より速くなりました。ウェブブラウズは、(マイクロソフト標準の)Edgeはもちろん、どのブラウザーでも速くなっています。
そして、Windowsのアップデートもサイズが40%も小さくなり、バックグラウンドでおこなわれるので効率的です。バッテリー駆動時間も長くなっています」
実際にテストするまでは鵜呑みにできないし、上記の改良点がすべての機種で有効であるとは限らない。だが、新しいハードウエアをターゲットとして新しい技術でつくることで、効率が良くなるのは珍しい話ではない。
「10」から「11」に変えた理由
実のところ、Windows 11で追加される要素のなかには、「今後Windows 10で追加される」と予定されていたものも多い。
そもそもWindows 10は、OSの名前を変えることなく、半期に一度、機能をアップデートして刷新していく「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」モデルを採用していた。そのため、「Windows 10は最後のOS」と認識している人が少なくなかった。
それにもかかわらず、今回、「11」が発表されたことで、大きな方針転換がなされたように見えるが、そうではない。マイクロソフトでWindows General Managerを務めるアーロン・ウッドマン氏は、筆者の質問に対し、次のように説明した。

「Windows 10を発表したとき、私たちが本当に明確にしようとしたことは、市場にWindowsを提供する新しい方法を採用する、ということでした。それは、Windowsを"サービス"と位置付け、その一環として機能とセキュリティのアップデートを提供することです。
Windows 11も同様にサービスとして位置付けられ、最低システム要件を満たすWindows 10ユーザーには無料で提供されますから、その点は変わっていないのです」(ウッドマン氏)
互換性についても「Windows 10と11で100%の互換性が維持できるよう努力する」(ウッドマン氏)としており、前述のように動作環境にもさほど変化はない。
であるならば、なぜ、数字が「10」から「11」に変わったのか?
その理由は別にある。