誰もが愛するウサギ「ピーターラビット」が誕生したのは1902年。絵本、アニメ、映画だけでなく、アパレルや食器まで多くのグッズにピーターラビットが登場しているのは知っているだろう。このピーターラビットを生み出したのは、ビアトリクス・ポターというイギリス人女性だ。

当時、ビクトリア朝時代のイギリス女性は参政権もなく、女性の生き方は非常に限定されていた。そんななか、ポターは絵本作家として売れっ子になっただけではなく、キャラクタービジネスを展開し巨万の富を得た。

そのビアトリクス・ポターをモデルにした女性・ビアとピーターラビットたちとの交流を描いた映画『ピーターラビット』の続編、『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』が6月25日に公開される。

大ヒットした前作と同様に脚本とプロデュースも手がけているウィル・グラック監督は、実は日本で暮らした経験がある。グラック監督に本作、そして日本に対する思いについて聞いた。

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時代設定を曖昧にした理由

――映画『ピーターラビット』シリーズには主人公のウサギのピーター、三つ子の妹やいとこのベンジャミンを含むピーターの仲間たち、そして彼らの飼い主として女性ビア(ローズ・バーン)を登場させています。ビアはビクトリア・ポターをイメージしたキャラクターですが、ポター自身をキャラクターに設定しなかった理由は何でしょう?

『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』より

グラック監督:絵本をそのまま映画化するのではなく、ポターのビジョンを盛り込んだフィクションにすることで、登場するキャラクターたちの成長物語にしたかったんです。

スマホをあえて映画には出さずに時代設定を曖昧にしたのも、物語をタイムレスにして、映画のテーマである「アイデンティティの葛藤」を際立たせたかったから。前作より3年経ったピーターは本作ではティーンエイジャー。ティーンならではの家族との軋轢、そして「自分は何者なのか」という自己アイデンティティに悩みます。

それはピーターだけではなく、ビアとマグレガーも夫婦として、そして、ピーターの両親として困難に直面し挫折し、成長していく。ピーターと同じように大人の彼らも葛藤するうちに新たな自分を見出していきます。