1人で養う大黒柱は懐が大きすぎる

その一方でチャミンダは、自分一人で大家族を養っていくことに何の疑問も抱いていない様子。5人家族とかならまだしも、20人家族を1人で養うなんて大変だな......。それに加えて日本から来た外国人旅行者の面倒までみちゃうなんて、実に懐の大きい男である。

「大事な家族の一員である君に危険な目には決して遭わせないし、必ず守ってみせる。何があっても家族は一緒だ。食べたいものを食べ、行きたいところがあれば僕たちがどこへでも連れて行く。いつまでいたっていいんだからね」とチャミンダは言った。

スリランカ伝統舞踊を家族に習う。写真提供/歩りえこ

大家族の中にはヤパおじさんの他にも気になる女の子がいた。ネトラ(仮名)という4歳の少女で、母親が長期にわたって出稼ぎに出ていた夫を待ち続けることができず、たった一度だけ近所に住む男性と浮気をしてしまったそうだ。狭い村では一気にその事実が広まってしまい、妻は深く反省したが、出稼ぎから帰ってきた夫は怒り心頭で妻のたった一度の過ちを許すことができず、以来ほぼ無視し続けているという。

夫は離婚を強く望んでいるが、スリランカでは離婚するということ自体が珍しいために別居すら難しい。たとえ離婚できたとしても、浮気した事実がある限り、スリランカの文化ではもう二度と他の男性と結婚することはできないという。

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女性が働くことがまだそこまで一般的でないスリランカでは、今の夫となんとかやっていくしか生きる道がない。それをよく分かっている夫は別れることができないでいるらしい。何度か自殺をしようとしたほど追い詰められたが、結局踏みとどまったという。

そんな不仲な両親に育てられている少女・ネトラは一度も笑った顔を見せたことがない。他の子供たちはとても朗らかに笑うのに、ニコリともしない。両親の複雑な関係性がこんなにも子供に影響を与えているのかと思うと胸が苦しくなった。

ガールズホーム(女子孤児院)を訪問したとき。写真提供/歩りえこ