家族それぞれに、さまざまな事情が

5〜6人で構成されるリアル血縁家族が3組と、他に身寄りがない近所に住んでいる人、両親を亡くした子供など、何らかの形で家族を失った者がこの家を訪れ、支え合って共同生活しているというのだ。

ヤパおじさんも他の19人とは一切血のつながりがない。結婚して子供も産まれ、30代まで真面目に働いていたが、やがて酒に溺れるようになり、アルコール依存症が理由で妻や子供に見捨てられてしまう。その後ますますアルコールに溺れていき、ついには働くことすらできなくなった。そんなヤパおじさんを受け入れてくれたのがこのジャングルに住む大家族だった。

血がつながっているかどうかなんて関係ない、一緒にひとつ屋根の下に暮らしているだけで皆大事な家族なんだ。君は日本人だけど、僕らの家に泊まっているからもう立派な家族だよ」とチャミンダは言った。

スリランカの大家族と一緒に国内を周遊。写真提供/歩りえこ

ヤパおじさんは赤の他人である歳下の青年に長年養ってもらいながら、毎日酒を飲み続けている状態だが、実は大家族のムードメーカー的存在だ。常に楽器を鳴らし、大音量で歌いまくり……いつも彼の周りには笑顔と音楽が溢れていた。

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面白いのは誰もヤパおじさんを注意しないこと。朝からウイスキーをロックで飲み始め、寝るまで一日中お酒を飲み続ける。まさしく重度のアルコール中毒で、手はずっと震えっぱなし。お酒が切れると意気消沈し「酒をくれ~」と叫び続ける。今後一生仕事をする意思がなさそうだけれど、大家族の全員がヤパおじさんを常に温かく見守っている姿に感動すら覚えた。

血縁関係のないチャミンダの給料を当てにして自分は一切働かず、毎日アルコール漬けでも誰一人責める人がいない……これって凄いことだ。ヤパおじさんは存在しているだけで皆から愛されているキャラクターのようだった。

スリランカカレーは全て右手を使って食べる。左手は不浄とされていて食事に使ってはいけない。写真提供/歩りえこ