2021.06.25
# 植物学

世界で最も詳しく研究されている植物で見つかった"新しい器官"とは?

植物研究のスター選手シロイヌナズナ
熊谷 玲美 プロフィール

なぜ今まで「カンティル」は見つからなかったのか

シロイヌナズナは、いってみれば植物研究の世界のスター選手だ。そう考えると、カンティルが今まで知られていなかったのは意外な気がする。その理由は、カンティルが形成されるしくみと関係がありそうだ※11

グッキン氏の研究で、いくつかの遺伝子がカンティルの形成を制御していることがわかった。その1つがERECTAという遺伝子で、この遺伝子をオフにするとカンティルができなかった。

一方で、実験用のシロイヌナズナは、このERECTAをオフにされたものが多いという。ERECTAがオフになっていると、強く、まっすぐに育つからだ。そうなると当然、実験室のシロイヌナズナにはカンティルができないことになる。

遺伝子だけでなく、生育環境も関係している可能性がある。グッキン氏の研究では、1日の日照時間が8時間から10時間の「春」のような条件で育てたときに、カンティルが伸びた。実験室では、もっと日照時間長くして、短期間で育つようにするので、やはりカンティルができなかったのかもしれない。

前述の通り、カンティルの役割はまだ不明だ。それでも、科学者の目の前にあった植物にさえまだ新しい発見があるのだから、グッキン氏がいうとおり、「世の中には発見すべきものがまだたくさんある」のだろう。

【参考資料】
※1 https://www.scimex.org/newsfeed/science-has-dicovered-a-completely-new-plant-part-the-cantil
※2 https://journals.biologists.com/dev/article-abstract/148/11/dev195545/269072/Cantil-a-previously-unreported-organ-in-wild-type?redirectedFrom=fulltext
※3 https://www.nationalgeographic.com/science/article/new-organ-found-in-worlds-best-studied-plant
※4 https://www.sciencenews.org/article/new-plant-organ-cantil-widely-studied-lab-arabidopsis-thaliana
※5 https://www.nationalgeographic.com/science/article/new-organ-found-in-worlds-best-studied-plant
※6 https://www.kazusa.or.jp/news/news20001213/
※7 https://www.riken.jp/press/2017/20170404_1/
※8 https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/100267
※9 https://www.nasa.gov/mission_pages/station/research/news/biology_research
※10 https://www.space.com/43025-china-moon-mission-plants-dead.html
※11 https://www.sciencealert.com/scientists-discover-a-brand-new-plant-part-in-a-plant-we-ve-been-studying-for-over-100-years

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