中村繁夫[アドバンスト マテリアル ジャパン社長]54歳でリストラの危機から、レアメタルで年商340億円へ

セオリー

 冒頭の勇ましい宣言は、中村氏の「独立宣言」だ。切り捨ての対象になったレアメタル部門を「タイタニック号」に、独立して設立する会社を「海賊船」にたとえ、"中村船長"は一緒に宝物を探す"海賊"を募ったのだ。

 そのとき、部下全員が連判状にサインをした。その後、MBO(マネージメント・バイアウト)という手法を使って会社から事業部門を買い取り、中村氏は独立する。

 こうして日本初のレアメタル専門商社アドバンスト マテリアル ジャパン(以下AMJ)は船出した。

「私の仕事は"探検"ではあるが"冒険"ではない」

アドバンスト マテリアル ジャパンの会社のマークは「ペンギン」。社長の体型をあらわしているそう

 中村氏の薫陶を受けた猛者社員20名は大きなリスクを取りながら、億単位のレアメタルの商談を次々成立させ、携帯電話やハイブリッドカーなどに欠かせないレアメタルの需要の高まりによる価格高騰の追い風に乗り、AMJは会社設立4年目に売り上げ340億円に達した。

 それにしても、リストラ勧告を「ピンチ」とは考えず、即座に「チャンス」と解釈したこの人物は、いったいどういう発想をしているのか。

 仮にピンチをチャンスに変えることのできる方法があれば、誰もが手に入れたい宝物のようなものだろう。

 中村氏ならその宝物の探し方やありかを教えてくれるかもしれない。

洞察力がピンチをチャンスに変える

 岐路に立ったら困難な道を選ぶ。

 どうやらこの生き方に、「ピンチをチャンスに変える」方法論が隠されているようだ。この入り口から宝物の鉱脈を探ってみよう。

「若い頃にバックパッカーで世界を放浪したとき、常にその日その日が右に行くか左に行くかの連続でした」

 中村氏は大学を卒業した22歳のときに海外放浪の旅に出た。約2年間、ほぼ無一文でヒッチハイクを続け、35ヵ国を放浪した。その姿は、当時流行ったヒッピーである。

「安易な道を選ぶと必ずと言っていいほど、病気になったり、金を落としたり、人にだまされたりした。これは経験則ですが、気の緩みから起こったトラブルでしょう」