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コロナ禍で「マルサ」が大凋落…その背景にある「3つの理由」

本格化する「組織再編論」を考える

コロナでマルサ墜落…!

2020年度に全国の国税局査察部(マルサ)が強制調査を実施して告発した脱税事件が83件(前年度比33件減)で、加算税を含む脱税総額は約69億円(同23億円減)だったことが国税庁のまとめで分かった。

これは統計を始めた1972年度以降で最少額だ。20年度は新型コロナウイルスの影響もみられ、同庁の担当者は「出勤抑制や移動制限など捜査上の制約があった」と説明しているが、この墜落はコロナの影響だけではない。担当者の発言は国税内部で本格化する組織再編論を意識したものと思われる。

近年の脱税手口の複雑・巧妙化などによって、告発件数も脱税総額も減少傾向が止まらない。

筆者がマルサに在籍していた2006年度までは、全国で毎年200件の着手・処理が至上命令だったのだが、そのどちらも激減している。件数が減ると必ず台頭してくるのが「マルサ縮小論」だ。

マルサは刑事罰の訴追を目的としているために手間がかかる。1件当たりの追徴税額や調査官1人当たりの調査件数をもって課税部と比較するべきものではないのだが、この数値を持ち出して後ろ向きの組織改編を唱えるのだ。

参考:2020年度 査察の概要(国税庁 2021年6月発表)
 

注目すべきは2020年度の着手件数111件だ。マルサは強制調査に入って処理するまでに1年以上かかる。つまり19年度の着手件数150件が20年度の処理件数113件に大きく反映することになる。

よって、来年発表する21年度の処理件数は今年発表の113件より小さくなることは確実で、脱税総額も69億円より小さくなることは間違いなく、この墜落がマルサの組織改編論がくすぶる原因だ。

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