怯えないことが責務

私は今まで、暴力団の怖さを過小評価したかったのか、溝口は表面の皮膚や肉を少し切り裂かれただけと勝手に思い込んでいた。溝口の背中を刺した刃物の傷口は幅五センチ、深さ10センチにも達していた。刺客は溝口を殺すつもりだった。

やれるもんならやってみろ……などといきがっても、暴力に直面し、殺されかければ意気消沈する。ところが溝口は怯まない。

 

「実際に被害を受けた後のほうが山口組を不気味に、怖く感じた。しかし、山口組に怯えないことが被害者として、私の責務だとも感じた。被害者であることは格好悪いが、だからといって声を上げないのは卑怯だろう。攻撃を受けた以上、騒ぎ立てるのが私の義務なのだ」

その後、溝口の記事を掲載したFRIDAY編集部が襲撃され、実子が刺されても、溝口の筆致は衰えなかった。

山健組に襲撃されたFRIDAY編集部(提供 FRIDAY編集部)

関連記事