『大豆田とわ子と三人の元夫』公式サイトより

『大豆田とわ子』は、「劇的な物語」を拒否する「雑談ドラマ」だった

人生の大半は、雑談でできている

『大豆田とわ子と三人の元夫』は見たことのないドラマだった。各回の冒頭でダイジェスト映像を見せるなど、これまでのドラマの定石をことごとく覆し、次なる展開の予想は常に裏切られ、毎回未知の世界を見せてくれた。

終了した今も、あのドラマがなんだったのか、言語化するのは難しい。多くの人々がすごいドラマだったと感じているにもかかわらず、この語り難さはなんだろうか。ここではその理由を考えてみたい。

「雑談って、いります?」

そもそも大豆田とわ子(松たか子)とは何者なのか。「これ、歩いている大豆田とわ子」で始まる伊藤沙莉の独特なナレーションによってこのドラマは幕を開ける。ナレーションは、

「靴の中に小さい石がはいってしまった。靴の中にはいった小さい石を、靴を脱がずに取り出そうと試みる大豆田とわ子。体をねじる運動のところがいつも人と合わない。ここも合わない。おしゃれなパン屋にジャージではいれる大豆田とわ子。カッコいい店員さんだって、ふーんて感じ……」

と続いてゆく。

主人公・大豆田とわ子を演じた松たか子[Photo by gettyimages]
 

いきなり冒頭でヒロインをここまでしつこく紹介するドラマも珍しい。ところがその紹介でヒロインの魅力が炸裂するかと言えば、ちっともしないのである。

というのも、そこで語られるとわ子のエピソードは、およそ連ドラのヒロインとは思えない、日常的でささいな、どちらかと言えばイケてないことばかり。元夫の一人・中村慎森(しんしん、岡田将生)の言い方を借りれば「それ、いります?」的な情報なのだ。

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