本当はもっと陸上をやりたかった

「モヤモヤ」というのは、引退した時に寺田選手が心のどこかで感じていたもの。本当はもっと陸上をやりたかった。その思いに向き合った。

「どっちかというと未練はあったけど、やりきったと見せかけていました。自分の中では勝ち続けるステージでできないなら、陸上をやっても意味がないと思っていました」

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きっとラグビーに挑戦しなければ、「走る楽しさ」に気づけなかっただろう。そして、あの時の「モヤモヤ」はきっと、ずっと彼女の心の隅に根を生やしていただろう。
「楽しいものって自然と努力するんですよね。夢中でできるものって最強だと思っています。今なら陸上を『夢中で』やれると思いました」

陸上競技を引退して6年。歳を重ね、身体も変わったが、寺田選手はラグビーを経験し、新たな強みを得ていた。
「陸上をやっていた頃は、もちろん止まることなく走り続けるような指導を受けていたので、急に止まったり、方向転換したりできなかったんです。ずっと真っ直ぐなラインを走るだけだったので。でもラグビーをやり始めてから、走る中にも色々な動きが加わることで、陸上に活きることもありました。あとは、人を見て言い方を変えたり、伝わり方を考えたりするようになったのは、チーム競技のラグビーで学びました。ラグビーで経験したこと全てが、陸上にも生かされているように感じています」

明るく笑顔が素敵な寺田選手。多くの迷いや悩みがあったからこそ、今がある 撮影/渡部薫