「自信がなかったら復帰を考えない」

こうしてラグビー選手として日本代表にも選ばれ、代表合宿にも参加していた寺田選手。しかし5月の試合中に相手選手と接触し、右足腓骨を骨折してしまう。その後、ラグビーへの復帰を試みるも、怪我の影響は思った以上に大きかった。

「ラグビーを始めて早い段階で大怪我をしてしまいました。復帰してまた合宿に参加した時に思った以上に周りの選手について行けなかったんです。足は速かったけど、それだけではだめなんだってその時に実感しましたね。ただ、2年のラグビー経験を無駄にするのもなとも思っていました。そこで、ラグビーの何が楽しかったのか、シンプルに考えてみたら『走ること』が楽しいのだと気がつきました」

2018年9月、日本の女子ラグビー日本代表チームはアジア大会で金メダルを。寺田選手はついていけない現実を目の当たりにさせられた。しかし、そこで新たな「学び」があった Photo by Getty Images
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2018年12月にラグビーを引退し、同時に陸上競技へ復帰。当時、復帰について相談を受けた夫の佐藤峻一さんは、陸連で長く仕事をしていたこともあり、「無理でしょ」と思ったという。しかし、「自信はあるの?」という問いに、寺田選手は即答で「なかったらやらないよ」と答えた。普段はネガティブだという寺田選手がキッパリと答えた時のことを、佐藤さんは「しびれましたね。これはやれるかもと思いました」と振り返る。

「以前の陸上選手時代は結果ばかりを求めていて楽しくなかったんです。ラグビーをやっている時は、走るのが単純に楽しいと感じました。結果がどうであれいいんだって。それに、歳をとってスポーツができなくなった時に、陸上に戻らなかったことに後悔するんじゃないかなとも思いました。後悔するなら、結果がでなくても、あの時のモヤモヤを解消したいと思いました」