痩せたり太ったりを繰り返すように

陸上界の名匠・中村宏之監督に声をかけられ、恵庭北高校に進学後は、インターハイ3連覇、3年生のときには3冠を達成し、順調に陸上選手としてのキャリアを積んでいた。しかし、実はその陰でずっと体重のコントロールに苦しんでいたという。

「短距離や長距離の走る・飛ぶ系の種目は体重を増やしたがらない傾向にある気がしています。長距離選手は痩せている方がいいとBMIを落としがち。だから自分もベスト体重は軽い方がいいと思っていたので、体重を減らそうとしていました。中学で一度成長期が来て、高校では身体が変わらなかったんです。

でも20歳前後でまた、空気を吸っても太るみたいな時期が来ました。一人暮らしも始めた時期だったので、今思うと食生活もよくなかったのかもしれません。高校時代の先生でもあるコーチとの関係性も悪くなっていて、『何を食べているんだ』『そんな生活をしていたらダメだ』と怒られてばかり。自分がダメなんだと自分を追い込んだ結果、痩せたり太ったりを繰り返すようになりました。先生の前では食べなきゃいけない、でも太れないから家帰る直前に自ら吐いてしまったりして、結局エネルギーが入ってないのでまた痩せて。コントロールができなくなった時期でした」

撮影/渡部薫
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器具を使うスポーツではなく、身体一つで戦うスポーツ。それゆえ、体重の増減はより一層、選手の感覚に大きく影響する。
「体重が重いと、いつも通り走っているのに前に進んでいない感覚がありました。逆に軽いと空回っちゃう。陸上は地面に力を伝えて、その反発を受け取って前に進んでいくので、体重が軽すぎてエネルギーがない時は、跳ねないんですよね。その場で腿上げをして終わっている感覚になります。今、若い選手からよく体重管理について相談を受けるんですけど、身体が変わる時期、体質が理解できる時期があるので、そこで無理をしないでほしいですね。それが落ち着いたら、コントロールしやすくなるから、普段通り気をつけていれば大丈夫だからね、と言うようにしています」