かくも楽しきドラマ「時代考証」のウラ側

考証家の特別座談会
大石 学, 門松 秀樹, 山田 順子

新選組といえば剣客集団で“ラストサムライ”のイメージがあります。ですが、実際の新選組は小銃を備えて洋式調練もやっていたんです。

今、最終章が公開中の映画『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督がこの逸話を採用してくれて、'12年に公開された第一作の冒頭では、新選組と官軍が激しい銃撃戦を展開するシーンが出てきました。

山田 私の場合は、原則は台本とか監督のご意向どおり、という姿勢です。現代劇として書かれた台本をいかに時代劇風に寄せていくかが私の役目。

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どういうわけか「時代劇初めてです」という監督や脚本家の仕事が多いのですよ(笑)。台本に書かれた5文字の言葉を直すのに、なぜそうなのかの解説を200字ぐらい書くから、戻し台本はいつも真っ赤です。

門松 根拠を示してあげることは大切ですね。

山田 昔は存在しなかった言葉ってたくさんありますから、台詞の直しは必須です。江戸時代に「自由」という概念はないから台詞を「気まま」に変えたり、「犯罪」という言葉もないから「悪事」に言い換えたり。

大石 よく、赤穂浪士の討ち入りで、大石内蔵助が「目指すは本所松坂町」と決め台詞を言いますが、あれも間違っています。本来、武家の屋敷地には「町」という呼称はつきません。

 

本所松坂町は、吉良上野介が赤穂浪士に討たれて、その跡地に武家を入れられないからと、幕府が庶民に町割して与え、「松坂町」となったんです。「目指すは本所吉良邸」ならば問題ないので、そう指摘します。

門松 ただ、脚本家の方の創意工夫であえて違う言葉を選択されていることもありますね。

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