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どうせならコロナ禍を機に過去の「自分」と「習慣」にサヨナラしよう

2024年「ポストパンデミック期」が始まる
米ベンチャー投資家で著述家の山本康正氏が「すべてのリーダー必読」と絶賛するニコラス・クリスタキスの著書『疫病と人類知』。医師であると同時にネットワーク科学、進化生物学などの学究でもあり、「世界の知の巨人」と呼ばれるほどの著者の知見が詰まった同書第7章「深遠かつ永続的な変化」から、新型コロナのパンデミックが私たちの生活に起こす変化の具体例をご紹介しよう。

変異株の存在はかなり以前から指摘されていた

世界中の遺伝学研究所はかなり前から、このウイルスには人間にさらに悪影響を与える、つまりさらに致死性が高いか感染力の強い、あるいはその両方を備えた変異株が存在するかもしれないと、その兆候を指摘していた。そして、時間の経過とともに、このウイルスに関連した長期の有病率についての情報が蓄積されるようになった。患者のなかには、病気治癒後も体が弱ったままの状態が数ヵ月間続く者もいた。

言い換えれば、パンデミックの初期段階でウイルスについて学んではいるが、今後数年の間にウイルスが社会の形を一体どのように変えていくのかについては、まだ大きな不確実性があるということだ。とはいえ、ウイルスがすでにわたしたちの世界を変えてしまったことは明らかであり、今後しばらくの間もそのような変化が続くことは、やはり確実だと言える。

わたしたちが集団免疫に達してから、あるいはワクチンが広く普及してからの数年間、おそらく2024年までは、パンデミックの臨床的、心理的、社会的、経済的衝撃とそれに必要な調整から、まだ回復の途上にあるだろう。わたしはこれを「パンデミック余波期」と呼ぶことにする。その後徐々に、いくらか永続的に変化したところのある世界ではあるが、物事は“正常”に戻るだろう。2024年頃には、おそらく「ポストパンデミック期」が始まるはずだ。

どのように生活が変化するのかすべてを予測することはできないし、50年後には、パンデミックがどのような変化を引き起こしたのかも覚えていないかもしれない。たとえば、痰壺や、公共の場で唾を吐く行為は、20世紀の初めまでアメリカで広く行われていた。しかし、1918年のインフルエンザのパンデミック時に、当然だが不衛生とみなされたこともあり、痰壺は使われなくなり、唾吐きも行われなくなった。

 

最近の例を挙げれば、わたしが成人した頃にはもう、飛行機に搭乗中や病院で処置を待つ間の喫煙は適切ではないということが、世間に十分知られるようになっていた。今にして思えば、こうした迷惑な行為は馬鹿げているように思える。レストランに入って、なぜ痰壺が置かれていないのか疑問には思わないし、飛行機の禁煙標識は単なる形式であり機内での禁煙は当然のことだと感じる。世界がかつてどうだったのか、わたしたちは忘れてしまっているのだ。

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